日本人男子のソウルフードと言えばラーメンだが、ここロサンゼルスでも実は寿司と並んで人気が高い。傾向としては、人気店はほぼ100%が豚骨スープ。脂ぎったハイカロリーなラーメンを胃に流し込みながら、追加でどっさりとアペタイザーを頼んで1時間かけてペチャクチャ喋りながら食し、のーびのびになったラーメンをタッパーに入れて持ち帰るのがこちらのスタイルである。仕上げに砂糖のどっさり入った炭酸飲料の代わりにダイエットコーラを飲んでカロリー調節した気分になるのを忘れずに。
では私的ラーメンランキングベスト10をどうぞ!!
1.Tsujita Annex
この写真を見てあるモノが浮かんだあなたは立派なジロリアン。Tsujitaは「東京で食べたあるラーメンに感銘を受け…」と店内に店の成り立ちを記載している。そう、Tsujitaは紛れもなく所謂一つの「ラーメン二郎インスパイア系」であり、その二郎の誇り高いスピリッツを遠く離れたアメリカの地に伝えようと目論む志高きラーメン屋なのである。そもそもラーメンランキングに書くには抵抗があった。なぜならッ!ラーメン二郎とはッ!!ラーメンという小さなカテゴリでは一括りにできぬ「二郎」という食べ物でありッ!!ひとつ間違えると家畜のエサ…いや、失敬!!あまりここで書くと長くなりそうなのでやめておくことにする。
こちらはつけ麺である。つけ麺もあるのが二郎とはやや異なる部分だろう。また、二郎と違って注文時「ヤサイマシマシアブラカラメトウガラシ」といった魔法を唱えることはできないので注意しよう。「Excuse me?」と怪訝な顔で聞かれるはずだ。ちなみにつけ麺はあまりアメリカ人にはウケがよくない。時間をかけて食べるのだから麺がのびないつけ麺はピッタリな気がするが、友人曰く「Too much work(付けて食べるのが面倒くさい)」だそうだ。アメリカも奥が深い。
2.もんぞう
リトルトーキョーは超人気店大黒屋のすぐ隣に店を構える恐れ知らずのうどん屋がもんぞうである。ラーメンではないのだが、アメリカ人からするとあまり差がないようなのでランキングに入れることにした。大黒屋と客を奪い合うかのように、最近は行列が伸びつつある。
こちらが看板メニューのうにクリームうどん。なんか見たことあるなーと思い、「これ、つる○んたんのような感じですか?」と店員さんに聞いたところ「参考にさせてもらいました!」とのこと。なかなか正直で好感が持てる。この店の魅力は、実際に麺を打っているところが食べながら見られるところ。アメリカ人ウケがいいのはそんなところにも理由があるようだ。味も美味しく、香港人で自称美食家の友人曰く「ミシュランレベルだ!」とのこと。ただし、うにクリームうどん以外は本当に普通のうどんなので注意。初回は必ずうにクリームうどんを注文しよう。
3.山頭火
日本でも昔からの有名店、山頭火が3位にランクイン。とろにくラーメンはとにかくチャーシューがとろけて美味しい。トーランスまで行かないと食べられないのが玉に瑕か。インターンシップ中によくお世話になった。
4.Tsujita
4位には1位にTsujita Annexに続きTsujitaの本店がランクイン。写真はチャーシューつけ麺。アメリカでは珍しく、日本でも比較的新しい部類に入る「魚介豚骨系」のスープとなっている。ラーメンはごくごく普通のとんこつラーメンのため注意が必要。チャーシューはよく煮てあってとっても美味しい。作る人によってチャーシューの厚さが倍くらい違ったりしてたまに残念なことがある。結構ヘビーなのだが、アメリカ人はこれにいくら丼やネギとろ丼を注文することが多い。いやはや。
5.TETSU
Tsujitaのすぐそばにあり、営業時間をTsujitaより長くしてガチンコ勝負を挑む男らしい店である。店内が広いため行列はさほど目立たないが、ひょっとするとTsujitaと同等、またはそれ以上に売れているかもしれない。ラーメンは全てiPadによって注文するという、ラーメン屋らしからぬ先進的な文明を取り入れている。基本的に王道のとんこつラーメンなのだが、個人的にこの店の一番の魅力は「のりトッピング無料」である。テーブルにはきざんだのりがどっさり詰まった箱が置いてあり、いくらでも入れることができる。あまり店員の前で大量にのりを入れるのは気が引けるので、店員の目を盗んではササっとスマートにのりを追加し、店員が気付いた時には時すでに遅し、真っ黒のりラーメンが完成しているというのが私のいつもの楽しみかたである。
6.麺王
ロサンゼルスに来て初めてまともなラーメンを食べて涙した思い出の味。麺王は「徳島ラーメン」という日本でも珍しいジャンルに果敢に挑戦している。スープは味噌+とんこつだろうか。味は申し分ないのだが、店員さんで日本人がいないために一部の人からフェイクと見なされ、あまりアメリカ人の呼び込みがうまくいっていないのが残念である。
7.新撰組
こちらはおそらくLAで最も商業的に成功しているのではないかと思われる「新撰組」。リトルトーキョー店は50席近くあるにも関わらず常に満員である。店員さんがとにかく元気で雰囲気がいい。7ドル程度からと安いのもポイントだ。正に王道のとんこつラーメンであり、替え玉も可能である。あ、ちょっとラーメン食べたいなーという時にピッタリのお店。
8.大黒屋
行列の長さNo.1と言ってもおかしくない超人気店。味は…まぁまぁ。麺に正直イマイチ感がある。ボリュームたっぷりのとんこつラーメンがメインで、写真は新メニューのスパイシーな味噌ラーメン。ネギのトッピングを頼むと大量のネギをトッピングしてくれるのでおススメだ。また、店内は昭和の日本をモチーフにしたデザインになっており、アメリカ人を連れていけばきっと喜ぶんではなかろうか。
9.満一
大黒屋、もんぞうリトルトーキョー1stストリート2強時代に待ったをかけた新店舗。店内は広々としていて、清潔感もあり◎。おしゃれ系のとんこつラーメンというイメージで、こがしにんにくなど、日本で流行ったトッピングが選り取り見取りである。ただ、コストパフォーマンスがやや悪い。とんこつラーメン食べたくなって、新撰組がやたら混んでたら仕方なく行くかな、という感じ。
10.吉野家(番外編)
こちらはなんとあの吉野家のラーメン。ロサンゼルスで食べたラーメンの中で一番美味しくなかった。作る人にもよるのかもしれないが、麺はダマになっており肉は牛丼の味付けのままで違和感あり。ショウガを足せるのが唯一の救いだろうか。吉野家は値段が安すぎて逆に低所得者層しか行けないような雰囲気になっているのが残念。店内で食べる場合も発泡スチロールの容器で雰囲気が出ない。アメリカ人からはフェイクジャパニーズフードだと思われている。日本も苦戦しているようだが、なんとか迷走から復活してほしいものだ。
おしまい。