Monthly Archives: 2月 2014
Comparative AdvantageとAbsolute Advantage
経済の基本的な考え方で、Comparative Advantage(比較優位)とAbsolute Advantage(絶対優位)という考え方がある。例えば、以下の2つの国があったとする。
iPhone1個製造にかかる労働力 | トウモロコシ一個製造にかかる労働力 | |
A国 | 8 | 2 |
B国 | 10 | 4 |
この場合、A国が全ての品目に対して製造にかかる労働力が少ないのでA国がB国に対しAbsolute Advantage(絶対優位)を持っているということになる。
ただし、モロコシを基準に考えた場合、A国はiPhone1個に対しモロコシ4個分の労働が必要なのに対し、B国はモロコシ2.5個の労働で済むので、B国がiPhone製造に関してA国に対しComparative Advantage(比較優位)を持っているということになる。
この場合、それぞれの国で勝手きままに製品を作るよりもA国がモロコシに注力し、B国がiPhoneに注力、後でトレードなりなんなりすることで全体の生産量は飛躍的に高まるのだ。
これが国と国との輸出入の仕組みである。例えばアメリカが広大な国土と気候を背景に野菜や穀物などの分野でComparative Advantage(比較優位)を持つのに対し、衣類などの単純労働が大量に必要なものに対しては中国がComparative Advantage(比較優位)を持つ。
これを人に当てはめるとちょっと面白い。誰かに対し全ての分野に優れた、Absolute Advantage(絶対優位)を持っている人なんて存在しない。そのため、それぞれの持つComparative Advantage(比較優位)を武器に仕事をしていくことになる。音楽に優れている人は音楽で、スポーツに優れている人はスポーツで、デザインに優れている人はデザインで…。ただ、需要と供給の関係で例えば競馬の予想に優れた人ばかりいても経済が立ち行かなくなってしまうので、国が中高大と教育を通じて需要がある、つまりお金になりそうな分野にComparative Advantage(比較優位)を持てるよう誘導していっているのだ。
もし成功したいのなら、自分の置かれた環境や経験から、Comparative Advantage、つまり自分が他人よりも優れている≒情熱を燃やせる分野を早期に発見し、それを伸ばしていくことが最善ということになるだろう。誰にも一つや二つ、他人よりも優れている部分が絶対にあるはずなのだ。
最後に、最近知ったありがたいお言葉をご紹介。
“One of the huge mistakes people make is that they try to force an interest on themselves. You don’t choose your passions; your passions choose you.” - Jeff Bezos
“人々が犯す大きなな間違いの1つは、彼らが自分自身の興味を強制しようとすることである。あなたがを情熱を選ぶわけではない。情熱があなたを選ぶのだ。” ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)
新商品開発
昨日は新商品開発(New Product Development)の中間試験があった。今後仕事に役立ちそうな内容が多かったのでキーポイントをまとめておきたい。
①需要予測
パスタを例に挙げて以下新商品の年間需要予測の手法を段階を踏んでご紹介。
1.コンセプトがある程度固まった段階でユーザーアンケートを取る。24%が「絶対買う」51%が「おそらく買う」と回答。
2.過去のデータから、「絶対買う」と答えた回答者のうち80%が実際に購入。「おそらく買う」と答えた回答者のうち30%が実際に買うことがわかっている。
3.上記2点から、(80%)(24%)+(30%)(51%)=34.5%のユーザーが実際に購入するだろうと仮定する。
4.テレビCM2,330GRP(1GRPは視聴率1%の番組に15秒CM1本流した時の値)を投下予定。これによってターゲットの48%の認知が得られると推定される。
5.ACV(All Commodity Volume)を70%と仮定する。この係数は定義が非常にややこしいので説明を省くが、過去の経験から得られた、最終的な数字を調整するための係数と考えればいいだろう。
6.ターゲットを7,740万世帯と仮定する。
7.リピーターの数は競合と比べてイマイチな商品で27%、平均的な商品で39%、エクセレント!な商品で44%ということが分かっている。
8.リピーターの年間平均購入回数は2.5回、リピート時一回当たりの購入数は1.4パッケージである。
9.初回購入数を計算する。7,740万世帯×34.5%×48%×70%=900万パッケージ
10.リピートによる年間購入数を計算する。今回は競合と同レベルの商品でリピート率が39%と仮定する。900万×39%×2.5×1.4=1,230万パッケージ
11.上記から得られた数字を足してみる。900万+1,230万=2,130万パッケージが本商品の年間需要予測となる。
この計算の問題点は上記の2つくらい数字の予測がずれていると最終的な数字が大幅にずれてしまうということだろう。あとはCMを実施しなかった場合、この計算だと需要がゼロになってしまう。ただし、今までの商品と大きく異なる新商品の場合、過去の商品の需要をそのまま当てはめるということが難しいのでこのタイプの需要予測は役に立つ。
②ブレインストーミング
マッキンゼー?による効率的なブレインストーミング7ステップをご紹介。何をもって効率的としているのか根拠ははっきりしていなかったりするが、何も考えずにブレストするよりもずっとましだろう。
1.決断の基準となるもの、新商品開発の上での制約(例えばゲーム会社が宇宙開発をしようと思っても無理な話である)を知っておく。
2.様々な切り口での質問を用意しておく。
3.ブレストする内容のエリアに非常に詳しい社員もグループに含める。
4.3人から5人程度のグループに分け、一つの質問あたり30分かけて答えさせる。
5.ゆっくりしたペース、深い思考を重視する。過去の成功事例を共有しておく。
6.グループ毎にいくつかのいいアイデアを決め、全体にシェアする。アイデアを選択したプロセスも説明する。
7.内容を素早く次のステップに移行可能なアイデアプールにまとめておく。
③プロジェクトの中止について
なかなか途中まで進んでしまったプロジェクトを中止するのは難しい。ただし早めに決断できなければ、回収不可能なコストに固執することで、損が膨らんでしまう結果となる。以下円滑にプロジェクトを中止するための2つのポイント。
1.成功報酬を減らす
例えば社員のボーナスが新商品の売上に比例している場合、是が非でもプロジェクトを進めようとする機運が生まれ、中止しづらくなる。
2.プロジェクトの中止を称賛する
例えば新進気鋭のゲーム会社SuperCellでは、プロジェクトが失敗した際「失敗おめでとう」的なパーティを開催しているらしい。失敗から学ぶことも多いし、失敗を恐れない雰囲気作りに役に立つだろう。
ここまでスピーディーに学んでいる分、スピーディーに学んだ内容を忘れないよう、これからもこまめにポイントをまとめていきたい。
ウニクラブ
ToriheiとUrth Cafe
今週は中間試験2つにインターンシップの面接が2回、プレゼンテーションが1回となかなか忙しい一週間だった。実は来週は月曜日が休みなので昨日から4連休だったりする。
インターンシップ面接は志望度の高い世界のトップゲーム会社2社で、それぞれ電話、対面での面接となった。中身はもちろん英語。電話での面接は正直相手にスピーディーにまくしたてられると全く分からない。とりあえず答えたものの、かなりの質問の解釈を間違えて返答してしまった気が…。幸いどちらも選考プロセスに直接は関係なさそうな面接だったので、次が本番と思って頑張ることにする。
こちらは木曜の夜に行った日本居酒屋「Torihei」。アメリカ最大の日本人集落トーランスに位置しており、リトルトーキョーのなんちゃって日本食屋と違って、あ、ほんとに日本の居酒屋だ、という感じ。お値段もそこそこで悪くない。
こちらはアパートから歩いていける距離にある「Urth Cafe」というおしゃれなランチスポット。お値段はややお高めだが、まったり休日の午後を過ごしたい方にはおすすめ。
LAの食事の平均的な美味しさレベルは決して高くないが、探せばいくらでも美味しいところは見つかる。勉強の話題ばかりだとつまらないので、これからLAのグルメリポーターとしてグルメスポットを紹介していきたい。
金メダルおめでとう!!
フィギュア男子初の金メダルおめでとう羽生さん!でもこっちでは全然盛り上がっていません!やっぱり土地柄ウインタースポーツと関係ないからだろうか。誰も話題にすらしていないのがちょっと悲しい。そんな中NHLと冬季オリンピックの関係についてのレポートを仕上げています…。
ただいま朝五時
大人は寝ても育たない。
この一週間すっかりこのブログの存在を忘れてしまっていた。特別忙しかった訳でもないのだが、色々と将来について考えたりしていて気持ちにゆとりがなかったのかもしれない。とりあえず一週間を振り返ってみる。
2月3日(月)
この日は妻の誕生日&結婚記念日。もうあれから丸5年も経ったのか―としみじみ。30歳になっても当時と変わらずいつまでも若いつもりでいる自分がいる。あの頃から少しは成長しているだろうか。学生時代に某R社でインターンをした際に、「○○年度の新卒採用キャッチコピーを考えろ」という課題があった。私が考えたキャッチコピーは、
“大人は寝ても育たない。”
だった。まぁ”寝る子は育つ”のパロディなのだが、あれからちゃんと育っているかなー、そもそも大人になってからの成長ってなんだろう、と改めて考えてみると案外難しかったりする。
2月4日(火)
この日は日本からはるばる受験生がやって来たのでお出迎え。USCを気に入ってくれたかな?気に入ってくれているといいなぁ。他の学校に行ったことがないので分からないが、学生同士の雰囲気は間違いなく最高だと自信を持って言えるんだけど。
この日は夜9時から某社のインターンシップの面接をネット経由のテレビ電話で受けた。それ以外は特に変わりなく普通に授業に出て普通に課題をこなした一日だった。
2月5日(水)
午前中グローバルストラテジーのクラスで激しいコールドコール(授業中ランダムに学生を当てて、この質問に答えなさい!という、背筋が冷たくなるビジネススクールの授業における恒例行事)攻めに合う。たまたまよく読み込んでいたケースだったので割と良く答えられて良かった。
ただその後、教授がプロダクトライフサイクルの図を描いてメキシコのパン市場は右上のここのポジションだよね、じゃあブラジルはどこ?と聞いてきた時に、集中力が途切れていたのもあって、「南アメリカ」と答えてクラス中が爆笑。私の回答があまりにも外れていたために先生も笑うしかなかったようでまぁ助かった。
午後は将来についてひとしきり考えたのち、某社インターンシップの次回の面接を辞退することに。次の面接が最後だったので、周囲の学生からは「もったいないから受けてオファーをもらったら考えればいいのに」と言われたが、先方にこれ以上迷惑をかけるのも嫌なので、面接前に辞退することにした。理由は、私が目指しているところへ到達するためになんだか遠回りになってしまうのではないかと感じたから。素晴らしい会社なのは疑いようもないので寂しい気持ちもある。これで現在応募している会社はアメリカのゲーム会社だけになった。恐らくビザと英語力の問題で非常に厳しいだろう。どこからもオファーがもらえない可能性は高い。背水の陣でのぞみたい。どこからもオファーがもらえなかったとしても夏休み中にやりたいことはたくさんあるので、その時間を有効に使うだけだ。
夜は近所の寿司元で友人達と食事。ウニがうまい。ウニのプールで泳ぎたい。
2月6日(木)
通常授業をこなしたのち、来週の中間試験に向けての補講を受ける。珍しくためになる(点に直結しそうな)補講だった。その後はビバリーヒルズにある中華料理屋で友人達とディナー。さらにそれから別のクラスのパーティにジョイン。深夜1時頃帰宅。
2月7日(金)
今日は家で夕方まで勉強の予定。その後友人宅でホームパーティの後、スーパーヒーローパーティなるヒーローに仮装しなければいなけい謎のチャリティパーティに参加予定。私はパワーレンジャー(こっちの戦隊もの)になるらしい。フムフム。
それではまた週末に!(多分)
スーパーボウル
今日はアメリカで最も人気のあるスポーツであるアメリカンフットボールで全米一のチームを決める試合「スーパーボウル」が催される日。友人とダウンタウンにあるヤードハウスというレストランで観戦した。試合はシーホークスというチームのワンサイドゲームになってしまったが、初のスーパーボウル、結構楽しめた。
スーパーボウルの面白さは試合だけではない。もっとも高額と言われるCM枠には各社こぞってこの日のためだけに工夫を凝らしたCMを投入してくる。アップルが以前スーパーボウルで流した以下のCMはおそらく史上最も有名なCMだろう。ジョージ・オーウェルの著作1984のパロディになっており、IBMを支配者になぞらえそれをハンマー=アップルが打ち砕く、という内容。
トヨタもなかなかいいCMを投入していたが、今年の一番はアウディのCMとの噂。普段脚光を浴びないCMがこれほど話題になるのはスーパーボウルならではであろう。
もう一つの楽しみはハーフタイムショー。今年はブルーノ・マーズ、レッドホットチリペッパーズとビッグネームが名を連ねた。
週明けは珍しく課題が少ないので、今週の週末はなんだかのんびりしてしまった。再来週にはもう中間試験。さらにインターンシップに関する就職活動も佳境に入ってきた。今日は早めに寝て来週に備えるとしようか。
ちょっぴり政治の話
あまりこの手の話を書くのは好きではない(一方の立場に立ちたくない)のだが、こちらの人と話していて色々と面白いなーと思うことがあるのでちょっとだけ政治のことについて書いてみる。
1:内政と外交の関係について
安倍総理はUSCで、ある期間勉強していたことがある。先日授業中に教授が「日本のプライムミニスター安倍はUSCの卒業生」という発言をして、日本人のJ氏が「あれ、卒業はしていないのでは?」と切り返して面白かった。
こちらに来てから中国人や韓国人と話す機会が多いのだが、やはり日本国民とニュースの捉え方が根本的に違っている。安倍総理のダボス会議での「日中関係は第一次大戦前のドイツとフランスの…」発言は、「通訳のミス」という見解に日本ではなっているようだが、まぁ日本人以外は誰も信じておらず、中国人韓国人以外にも、かなり、かなーりクレイジーな発言と受け取られているようだ。
ある韓国人I氏は、日本がいつの日かまた攻めてくるんではないかと半分本気で思っている。曰く、「防衛費の増加方針を中国の脅威のせいにしている」とのこと。朝鮮半島は地理的に重要な位置にあるため、歴史上陸からも海からも攻め込まれたことしかない悲運の地域と言える。さらに韓国は上に北朝鮮、その先に中国、海の向こうとの関係も緊張しているとあっては不安になるのも無理はないかもしれない。
そのI氏だが、韓国の現大統領には批判的なようだ。日本批判を内政失敗の際の支持率維持に利用しているとのこと。国と国との関係悪化には以下のようなプロセスがあると思う。
①内政失敗、不景気などによる支持率の低下
↓
②批判を第三国に向けることで国内の求心力を高めようとする
↓
③第三国との関係が徐々に悪化、景気が回復しなければ関係も改善できず、泥沼状態
外国との関係は、常に内政と景気に左右されていると言える。
2:各国の報道の違いについて
報道は国によって全く内容が異なることを頭に入れておかないと、知らず知らず一種のマインドコントロールを受けることになる気がする。例えばシリアの問題について、ロシアのニュース番組では政府側の立場で「反政府派とのし烈な戦い!」という感じで報道されていたが、日本やアメリカでは「非人道的なシリア政府!」という形で報道されている。どちらがいい、悪いではなく、立場が違うことを頭に入れる必要があると思う。
タイ人のクラスメートとタイの情勢についてよく話すのだが、話を聞く限り現政府のタクシン派は汚職にまみれており、投票を操作し、農村部の国民を買収し、ファミリーでタイという国を牛耳る悪い巨大マフィアのようだ。ところがどっこい、日本の報道を見るとどうやら反体制派が少数派の過激派のような報道がなされている。タクシン派がアメリカに太いパイプを持ち、アメリカが現体制を支持しているため(どうやら石油のためらしい)、同盟国の日本も同じ側に立って報道しているというところだろうか。先進国の報道がいつも正義とは限らない。報道は立場によって180度異なるのだ。
かなりの人数のクラスメートが授業の一環で数か月後タイに行く予定なのだが、果たして今の状況で行って大丈夫だろうか。行先が変更にならないか、他人事とはいえちょっぴり心配なのであった。