Monthly Archives: 8月 2014

33年間変わらない映画の儲け方

33年間変わらない映画の儲け方

今週の月曜日から2年生になって初めての授業が始まった。今年から念願のシネマスクールの授業が取れるようになったのだが、これが本当に面白い。その一つ、”Feature Film Financing and the Studio System”という授業は、実はUSCを受験する際に挙げた受けたい授業の筆頭であり、そして期待を裏切らず今までの授業の中で最高の授業だと胸を張って言える。

元々何故この授業を受けたかったかと言うと、一つのコンテンツに数百億円の資金を集める映画のファイナンス手法に非常に興味を持ったからである。平均予算80億円と言われる、スタジオ映画ほどの予算のゲームは現在一握りであるが徐々に増えつつある。それが一本のコンテンツに大量のお金をかけることができない日本のゲーム業界が、徐々に輝きを失いつつある一因となっているのだ。

映画がお金をくわえて帰ってくる仕組みは、実は過去33年間大きく変わっていないという。その仕組みは以下の流れになる。

1.劇場公開

2.飛行機、軍の基地、大学、船、牢獄、石油掘削場などクローズドな環境での上映

<ここまでで大体4-6か月>

3.ビデオ(ウォルマート、ターゲット、ベストバイなどの小売)、オンライン配信

4.Pay TV、ケーブルテレビ ここから3に戻って2-3年の周期を繰り返す

昔はメジャーネットワーク(日本でいうキー局)がテレビで流していたりしたらしいが、ここ最近はあまりないらしい。これだけ見るととてもシンプルな構造である。大体7年ほどで映画のライフタイムにおける売上の90%くらいが手元に来るらしい。33年間変わっていないと書いたのは、それまではビデオがなかったからだ。ビデオは劇的に映画業界の仕組みを変えたのである。

ファイナンスの仕組みについてはまだ触った程度であるが、結論としては6大スタジオは基本的に全て自分達で賄っている。数百億の予算で失敗すれば大損害があるというのに、だ。以下がその6大スタジオである。

1.ワーナーブラザース(親会社 タイムワーナー:コンテンツビジネス)

2.21世紀フォックス(親会社 ニュースコーポレーション:メディアビジネス)

3.ディズニー(親会社 ウォルトディズニー:ネットワーク、コンテンツ、テーマパーク、ESPN)

※ちなみに、ウォルトディズニーの最も大きな事業は映画でもディズニーランドでもなく、ESPNというスポーツネットである。意外だ。

4.ユニバーサル(親会社 コムキャスト:ケーブルビジネス)

5.パラマウント(親会社 バイアコム:コンテンツビジネス)

6.コロンビア(親会社 ソニー:電気機器ビジネス)

ご覧の通り、どのスタジオも超強力なパトロン親会社がバックに付いていることが分かる。それぞれの親会社の中核ビジネスは異なるが、財閥的に事業領域が多岐にわたるため、共同制作といったことは利益が相反する部分が出て基本的に成立しないのだ。だから基本的に自分達でやる。自分達で全リスクを取って最大限シナジーを生かし、全利益を回収する。

そしてもう一つ、これらのスタジオは映画ですぐに儲けようとしていない。実は劇場公開した映画のほとんどは赤字だそうだ。6大スタジオ以外と比較すればそれはそれは高い確率で黒字だそうだが、案外ヒットは少ない。しかし、例えば一本映画がコケたとして、年間14~20本のポートフォリオでカバーできると彼らは考えている。かつ大量の映画ライブラリが安定的収益をもたらしてくれるため、実は古くなったライブラリの一部を更新する、という感覚なのである。

6大スタジオと同じ仕組みがゲームでできないだろうか。日本のゲーム会社を持ってシナジーを発揮できるところはどこだろう。そんなことを考え出すと眠れなくなりそうなので、今日はこのあたりでやめて後日続きを書くことにしたい。実は明日からグランドキャニオンでキャンプなのだ。楽しみ。良い週末を。

インターン最終日

インターン最終日

先週の金曜日は私のインターン最終日ということで、社長のおごりでみんなでRock & Brewsというレストランに繰り出すことに。

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ご覧の内装。その名の通りビールが美味しそうであるが、勤務中なのでいただけません。残念。。

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ビートルズやジミ・ヘンドリックス、クイーンなどの大物タペストリーがずらり。創業した方の写真も飾ってあったが正にロックンローラーという感じの人たちであった。

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こちらがハンバーガー。うむ、ビールが飲みたくなります。でも仕事中なので飲めない。でも飲みたい!

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オフィスに戻るとなんと「ハッピーバースデー」の歌とともにケーキが登場!2か月ちょいしかいなかった私にここまでしてくれてありがとう!思わずうるっときてしまう。まぁ、誕生日ではないんですが…。細かいことはよしとしよう。実は甘いものが苦手だと言い出せず無理して完食したのはここだけの話。

ということで、夏休みはインターンと共に始まり、今日でおしまい。ここで築いた絆は今後のゲーム業界人生において必ず大きな力となることだろう。明日からまた勉強、頑張ろうっと。

アメリカの貧富の差を考える その1‐学歴

アメリカの貧富の差を考える その1‐学歴

こちらで外を歩いていると1日に3回はホームレスからアグレッシブに物乞いをされる。温室育ちの日本人からすると結構ショッキングである。

アメリカと言えば自由の国。平等に機会が与えられ、実力のある者が富を掴む。いわゆるアメリカンドリームのイメージがあるのではなかろうか。実際には、スポーツ選手ならいざ知らず、そんな夢物語は、その他大多数の学校→就職というルートにおいてはほぼないと言っていいだろう。なぜなら、アメリカには最大の権益「学歴」というものがいかんともし難い壁として存在するからだ。

まず大学受験について。アメリカでもいい給料の仕事を得るためにはいい大学に行き、さらにはいい大学院を卒業する必要がある。アメリカの大学受験は日本で言うところのAO入試が一般的。すなわち、学校の求める人物像と照らし合わせて合否を決定するのだ。主に「SAT」と言われるセンター試験のようなものの点数と、志望理由や自分の実績を書き記した「エッセイ」というものが判断材料になる。

「SAT」は日本の受験生からしてみれば「え、こんなに簡単なの?」というレベルの問題ばかり。もし日本語で解けると仮定するなら、日本の優秀な高校生ならちょっと対策すれば楽勝で足切りを突破できるだろう。

「エッセイ」については、実は大したことのない実績をピッカピカに磨き上げてエッセイに落とし込んでくれる、エッセイカウンセラーという職業が存在する。ゴーストライターに近いと言ってもいい。当然エッセイカウンセラーは実績に応じて費用が異なり、ランクの高い優秀なカウンセラーほど費用も高い。受験する学校の数によっては軽く百万以上の費用がかかるだろう。戦っているのはプロ達であって学生ではないのだ。誤解を恐れず言い切ってしまうと、アメリカの大学受験は「札束による殴り合い」の様相を呈している。(勿論エッセイカウンセラーに頼らない学生もたくさんいるが、余程文章力がなければプロの文章と同じ土俵で戦うのは不利と言わざるを得ない)

大学院受験、例えばMBA受験においては、職務内容や仕事上の実績も勘案されるのでまだ実力を発揮して土俵に立つことも不可能ではない気がする。しかし、五十歩百歩の高校生時代の経験を比較して正直何が分かるというのだろうか。結局お金の力で決まってしまうのではないか。話の本線から外れるが、アメリカ人の高校生がボランティアに熱心なのは、クラブでリーダーを務めるのは、いい成績を取ろうとするのは、エッセイや履歴書に書くためという動機が大きいのだ。

次に学費。ハンパじゃなく高い。学部でも年間で400万円とかかかる。もちろん払えるだけの財力の証明が必要。貧乏人お断りである。大学がオファーするローンを組むこともできるが、大学も不況下で無制限にお金があるわけではなく、枠は限られている。金利も日本では考えられないくらい高い。さらにいい仕事を見つけるために大学院にも行くことを考えると、無事に払えるのは極々一握りの人達に限られてしまう。

この前以下のような記事を見つけた。

「ハーバードはどうしてホームレス高校生を何人も合格させるのか?」

http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2012/06/post-445.php

このような記事を鵜呑みにしてはいけない。ホームレスのエッセイ、人生経験が「たまたま」目立ち、きっと大学の評判もあがるだろうから入れてみよう、となっただけであり、極々稀なケースである。100人同じレベルのホームレスが受けても受かるのは多分一人だけだ。日本で貧しい家庭に育ちながら頑張って勉強して東大に入学する苦学生の方がよっぽど多いだろう。

何が言いたいかというと、日本の受験システムはアメリカのそれに比べて遥かに平等だということ。アメリカはAO入試が中心のために金のパワーが不可欠になり、多くの場合金持ちの子しかいい大学に入れず、金持ちの子は金持ちに、貧乏の子はずーっと貧乏のままという構図が出来上がってしまった。

日本でも大学生の両親で平均的に最も金持ちなのは東大の学生の親であり、親にお金がないと子供を勉強する環境に置きづらいという現実は存在する。それでもなお、アメリカと比べ遥かに平等に近いシステムであり、やる気があれば人生の逆転は可能なのだ。

それからもう一つ。日本の受験生の知識レベルは世界でもトップクラスに高いと思う。ハーバードに受かった学生が日本の受験生と同じ土俵で東大を受験して合格するのは難しいだろう。もっと日本の受験生は自信を持っていいと思う。お腹が減ったのでこれから納豆を食べます。

夏休みももうすぐ終わり

夏休みももうすぐ終わり

インターンシップもあと一週間。この2か月本当にあっという間で、会社でたくさんの友達ができ、本当に多くのことを学ばせてもらった。担当していたゲームももうすぐリリースである。思ったよりも時差は大きな障害で、中国オフィスとのコミュニケーションは大変だった。本当はもっと色々とゲームに手を加えたかったのだが、リリースまでの時間と、直接的に開発側とコミュニケーションが取りづらい問題がネックになって思い通りにいかなかったのが悔やまれる。また、今までの経験から大体売上の数字が読めてしまってあんまりワクワクしないのがなんだか悲しいところでもあったりする。

最近色々なゲーム会社の方々とお話しさせていただく機会が多く、話す度にいい刺激を受ける。それぞれ会社ごと、もしくは人によって全然話す内容も聞かれる内容も違っていて、面白い。ただ決まって聞かれる質問は、卒業後の進路について。今のところ3つくらい選択肢を考えていて、ゴールとなるところは同じなのだが、いつもその話をする度に本当はどれがゴールまでに一番良い道なんだろうか、と自問自答させられる。うーむむ。猶予はあと半年くらいだろうか。悩ましい。

例えば一社員としてアメリカの大きなゲーム会社に入るとする。すると、自分のやりたいプロジェクトができるようになるまでに一体何年かかるだろうか。逆に、比較的小規模な会社に入ったとして、裁量は大きくとも会社の規模がネックになって結局予算的に大きなプロジェクトができなかったりしないだろうか。実際問題、会社のネームバリューの問題で組めなかったりする相手もいる。それ以外にも色々と選択肢はあるだろう。

とりあえず今は全ての可能性を見つつ、それぞれ行動している段階。この一年あっという間だったから、あとの一年もあっという間に過ぎていくんだろうな、と思う。残された一日一日を大切に過ごしていきたいな、と改めて思う。

2世ウィーク

2世ウィーク

現在リトルトーキョーでは日系人2世を中心としたお祭り「2世ウィーク」なるものが開催中。そのため近所は交通規制が敷かれ、すごい人数の人々でごった返している。確か一年前くらいに交通規制のおかげアパートに入れず苦い思いをした記憶があるが、それはこれだったのかなーと思う。

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こちらは栄えあるミス2世出場者の方々。一番上に座っておられるお方こそミスユニバースならぬミス日系2世であります!

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日本の心、阿波踊りも同時開催中。高円寺の阿波踊りを思い出しますなぁ。

なんといっても一番の驚きは、こんなに日本人いたのかー、ということ。もちろん、トーランスあたりからもはるばる遠征してきているのかと思うが、それにしても結構な人数。今日こそリトルトーキョーの人口No.1は韓国人でもメキシコ人でもなくついに日本人だろう。しかし、このお祭りどうやって参加すればいいのだろうか。次回があったら参加してみるのも楽しそうだなー、とふと思うのであった。

ふと思うこと

ふと思うこと

ここ数日、日本のニュースを見ると原爆が広島、長崎に投下された時の話が盛んに取り上げられていて、昔、横浜駅で開催されていた原爆に関する展示をたまたま乗り換えの間にフラーっと見てとっても衝撃を受けたのを思い出す。昔から授業で「原爆」がなんなのか、どこにいつ落ちたのかは知っていたが、それが本当の意味で原爆について知るきっかけになった。

2年ほど前だろうか、出張ついでに留学を志すきっかけの一つになった松下村塾に行ったのだが、その途中で広島に寄って原爆ドームと原爆資料館に寄ったことがある。立ち寄る動機になったのは、その直前にインターネットで知った、ある男性の話。

広島で原爆が落ちたその瞬間、その原爆のほぼ直下にいて生き残った方がいたのをご存じだろうか。多分私の世代の人は1%くらいしか知らないだろう。どうやって原爆の直下にいて生き延びることができたのか、不謹慎にも非常に興味をそそられたのである。その方、野村英三さん(当時47才)は84歳で天寿を全うされたそうだ。

その後購入した「原爆体験記」には、野村英三さんの生々しい体験記も綴られている。本のカバーにある、大江健三郎氏のコメントは、非常に説得力のあるものである。

「この一冊の書物は、われわれが、たとえ苦痛とともにであれ、あえて記憶しつづけねばならぬ事実と真実とを、異様な緊張度において提示する。ここに記録された人間的悲惨は、われわれに耐えがたいショックをあたえる。しかしあえてなお、われわれはこれらの手記を熟読しなければなるまいと思う。 -大江健三郎」

当時実際にその悲惨な現実を体験した方の多くは、すでにこの世を去っている。日本は唯一の被爆国で原爆の恐ろしさを伝えていかなければならない立場にありながら、ほとんどの人は当時実際に何があったのか知らない。特に若い世代の人達が知らないのは、とても残念なことに思う。

当時の広島を3Dで完全に再現して、原爆体験者の一日を追体験するようなゲームは作れないだろうか。一切脚色のないドキュメンタリーとして。非営利で。クオリティーを考えると予算は最低10億円くらいかかりそうだが、きっとその価値はある、多くの人に知ってもらいたい事実がそこにあるはずだ。映画よりも、なによりも、実際に自分の足で広島の街を歩き、体験することにゲームとして作る価値があるように思える。

ちょうど似たようなタイプの映画みたいなゲーム、「ラスト・オブ・アス」をプレイしながら、やっぱりゲームは無限の可能性を秘めているなーと思う。そんな業界にいられて幸せである。もうあと2週間でインターンもおしまい。そしてすぐに授業が始まる。そんなことを考えながら、金曜日の夜は更けていくのであった。

刺激

刺激

今日某大手ゲーム会社の役員の方とお話しさせていただく機会があった。自分のバックグラウンドに関して質問が色々飛んでくるのかなーと思ったが、全然違う。質問の根底にあるのは、知的好奇心。これからゲームはどこへ行くのか。どんなゲームが流行るのか。日本のコンテンツは世界で通用するか。何百億円かけた海外のゲームにどう立ち向かっていくのか。…どう思う?

おそらく明確に知りたいことがあって、その解を探している。そして、違った切り口の意見を聞くことでその解に近づけるのだろう。

一線で現在活躍されている方の話はとても刺激的だし、大変勉強になった。全然考え方は異なるが、考えていることは同じ。日本のゲームで世界を獲る!ということである。あとから思うと、あー、この話もしとけばよかったなーとか、とにかく話が尽きず、あっという間に1時間過ぎていった。

話の続きをまた、できるといいのだが。

Comic Con

Comic Con

どうもインターンシップが始まってからブログの更新が滞りがちである。理由を考えてみると、授業のある時は学校でも家でも常に課題に追われ、息抜き(現実逃避)で勉強の合間にブログを書いていたのに対し、今は朝から晩まで職場に拘束され、夜は特に宿題があるわけでもないのでそのまま寝るまでゲームをしてしまったり、漫画を読んでしまったり、気づいたら寝落ちしていて朝を迎え、そのまま会社に向かう、というパターンが多いのだ。このブログは記録の意味合いが強いので、できるだけ頻繁に記していきたいのだが。

気を取り直して先週土曜行った全米最大のコミックイベントComic Conのまとめ。ロサンゼルスから南に4時間ほど車を走らせ、西海岸3大都市の一つであるサンディエゴに到着(あとの二つはサンフランシスコとロサンゼルス)。週末だったこともあり、やたらと混んでいて大変だった。通常は2時間くらいの道のりだそうだ。元々地理に疎い私は、もっとローカルな町だと思っていただけにその規模に驚き。元々旧日本軍による真珠湾攻撃の結果、海岸の軍備を増強したことがサンディエゴの発展につながったそうで、友達がその節はありがとうねー、とジョークを飛ばしていた。

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こちらコンベンションセンターからダウンタウン方面の景色。さすがは全米最大のコミックイベント。尋常ではない人出である。

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こういったイベントに欠かせないコスプレイヤー達。ドラゴンボール人気はどこへ行ってもすごい。

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こちら映画の公開が始まったガーディアンズオブザギャラクシーの模型。実は今日これから観に行く予定だったりする。

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モンハンにガンダム。日本企業も頑張っているが、ロサンゼルスでおこなわれたアニメエキスポと違いその存在感の薄さは否めない。たまたま会場で社会人一年目お世話になった先輩に出会う。今はアメリカ支社で働いているそうで、今日は朝四時から仕込みで大変だったらしい。一年目は色々と結構泥臭くイベントのお手伝いをしたなーと思いだす。今ではいい思い出だ。

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不思議な車が走っていたので思わず激写。なんだか奇抜な車や服装の人たちが多く、ロサンゼルスとはやや違った雰囲気の街である。よりおしゃれで洗練された雰囲気だ。ロサンゼルス旅行の際は寄って損はしないだろう。おススメ。