Monthly Archives: 2月 2015

折り紙

折り紙

クリエイティビティのクラスのFinalプロジェクトで折り紙を作ることになった。基本的に題材はなんでもいいのだが、日本の伝統的アートであるにも関わらず実は一回もまともに作ったことがないことから、折り紙をやることにした。まさかこの歳になってビジネススクールで折り紙を折るとは思いもよらなかったことである。今日はその内容を発表するプレゼンテーションの日。

ただ普通に折り紙を折ってもつまらないので、昨今流行りのお札を使った折り紙アートをやることに。「ターバン野口」「B-Boy リンカーン」などで検索してもらえると色々と検索結果に出てくるが、折り紙誕生から1,500年が経とうとしている今でもなかなかクリエイティビティ溢れる先進的な作品が続々と誕生している。このような授業がなければそもそも折り紙を折る機会は今後一生なかったと思うので、この機会を存分に利用して楽しみたい。

明日は私の所属するクラブ、Business of Entertainment Association主催のE2というカンファレンスがおこなわれる。エンターテインメント業界から著名なクリエイターやビジネスマンがいらっしゃるので、楽しみである。卒業までのカウントダウンを知らせる掲示板は、現在78。ついこの前に100 Days Dinnerがあったような気がする。あまりの速さで減っていくその数字に、一抹の寂しさを覚えるのであった。

Job Shadow

Job Shadow

先日金曜日は、Job Shadowというボランティアで高校生に将来のキャリアについてアドバイス。なぜ最近よくボランティアをしているのかというと、スタンフォード大学でおこなわれる年に一度のボランティアのビッグイベントへの参加条件で、一定時間以上のボランティアアワーが必要になるのである。私はあと一回分のボランティアでようやく到達というところ。ちなみにUSCはこのボランティアイベントで4年連続?優勝中である。

キャリアアドバイスといっても、こちらが気づかされることが実に多い。こちらはまさに就職活動中の学生が多いので、「いや、お兄さんも実は何を将来やりたいか分からないんだけどね。。。」という発言が普通に出たりして面白かったりする。そこにきてゲームプロデューサーという職業、ヒットする高校生は多かったようで、ボランティア後に「どのボランティアが一番良かった?」との質問に複数の高校生から指をさされてなかなか嬉しかった。そうなんです。ゲームプロデューサーは仕事中にゲームができるんです。

そんなこんなで、私も進路に悩む一人だったりしたわけだが、実は某会社様よりありがたくもオファーをいただき、7月より働くことに決めたのでありました。本当に自由な社風で可能性に溢れており、今からワクワクしているところ。大学院生活もあと2か月半。1日も無駄にしないように頑張っていこうと心に誓うのであった。

統計学とオペレーションコンサルティング

統計学とオペレーションコンサルティング

ブログというのはオープンなものなので、なかなか日記のように好きなように書くわけにもいかず、それが最近なかなか更新が滞っている理由になっていたりする。「これは書いていいんだろうか」と思って途中で書くのをやめてしまったりということが結構あるのである。ウーム、独り言のつもりで適当に始めたものなのに、書くことを選ばなくてはいけないというのはなかなか難しいものだ。

先日カジノについて統計の話を書いたが、元々数字が好きなこともあってこれがなかなか勉強していると面白い。「こういった場合の確率はどう計算すればいいのだろう」「こういった場合の資源最適化はどうすればいいのだろう」といったことは、大体検索すれば例がヒットし、Excelやその追加機能を使えば解が導けるものがほとんどなのである。もしMBAに来る前に知っていたらゲームの運営で応用できていただろう。

オペレーションコンサルティングという今受講しているクラスの一つは、そんな統計学などを用いて各社が抱えるオペレーションの問題を解決しようというのが一番大きなゴールとなっている。実際に週1回クライアントと話して内容を詰めていく。今回は社員をどのような計画で10倍にするかというプランなので、効率化とは大分異なるが中々面白そうだ。

数字を基に物事を考えることはビジネス上不可欠であるが、こちらのゲーム会社を色々見ていて分かったことが一つある。良いゲームを出している会社は例外なくデータをほっとんど参考にしていない。評価の低いゲームばっかりだしている会社はほぼ数字を基にデシジョンメイキングをしている。ゲーム会社は、クリエイティビティと数字は相反するものであるということをしっかり理解した上で、上手にデータと向き合う必要があるだろう。本来ゲームに支払われる報酬はプレイヤーの感情の振れ幅に対し発生するものであり、売れたイベントやキャンペーンの頻度を増やすことで支払われるものではないのである。

久しぶりのボランティア

久しぶりのボランティア

昨日は久々のボランティア。6時間もあったのでなかなかつかれたが、いい経験になった。内容は、ファイナンスパークというところで、高校生に対しての日常の予算管理に関するレクチャー。私が担当したのは高校生2名。

専用のソフトをiPadで使用してレクチャーしたのだが、なかなかこのソフト良くできていてこちらも勉強になる。無理に貯金する分を多くしたり、ラグジュアリーな車を買ったりすると食事が大変貧相なことになったりする。それぞれの生徒の個性も出て中々面白い。

担当した2人は無事に少ない予算をやりくりして1か月目の支払いを完了することができた。今回は正直あまり気のりしていていなかったのだが、ボランティアというのは日本にいた時は全くやっていなかったものの、なかなかやってみると気づきがあったりして面白いものである。今後も定期的にやっていけたらな、と思う。

ラスベガスをぶっつぶせ ‐確率で科学するギャンブル‐

ラスベガスをぶっつぶせ ‐確率で科学するギャンブル‐

「ラスベガスをぶっつぶせ」という映画をご存じだろうか。アメリカで以前ヒットした映画で、マサチューセッツ工科大の学生を中心に構成されたチームがブラックジャックの高度なスキルである「カウンティング」という技術を駆使してラスベガスを荒らしまわるという物語である。アカデミー賞を獲得した「レインマン」も同じ「カウンティング」の話である。

私は取っていないものの、MBAの統計関連の授業でこの「カウンティング」を題材に、どのくらいカジノで利益を出すことができるか計算しようという面白い課題があったらしい。ところが調べたところ、複数のデッキを使用し頻繁にシャッフルする現在のカジノでこの「カウンティング」は実質ほぼ不可能となっており、ブラックジャックで「ラスベガスをぶっつぶせ」を再現するのは残念ながら不可能である。

そこで、現代版「ラスベガスをぶっつぶせ」を再現できないか調査してみた。ちなみ私はギャンブル狂でもなんでもないのであしからず。あくまで授業の応用です。

候補になり得たのは「ビデオポーカー」というマシン。それ以外のラスベガスにあるゲームはハウス側の利益が大きすぎて話にならず断念。

http://www.vpfree2.com/casinos/by-region/las-vegas.html

こちらのサイトに各種ビデオポーカーのペイアウト率と設置店の記載がある。ペイアウト率100%以上ということは、即ちパーフェクトにプレイしながら長期的に確率が収束していけば、必ずプラスになるということである。

しかし、高ペイアウト率のマシンはとことん低予算マシンとなっており、最高のペイアウト率101.6%の5セントマシンをひーひー言いながら一日5,000回プレイしたとして、5セント×5(5枚掛け)×500×1.6%でなんとビックリ!平均一日20ドルの儲けにしかならない。これでは仕事上がりの一杯もままならない。

そこで趣向を変え、プレイすることでもらえるポイントを考慮してそれでトータル100%を超えないだろうかと考えることに。そこで目を付けたのはラスベガス最大のエンターテインメントグループMGM。ここはスロットクラブへの加入でコンプボーナス(食事など)が消費額の0.1%分、プレイポイントボーナス0.1%分、HGSというポイントが0.033%分(概算)で付く。さらに、最高のメンバーシップNoirとなれば、それぞれのボーナスが×1.4倍になる太っ腹ぶりである。

MGMグループが設置する最もペイアウトの良い台はJB9/6という機種で99.54%のペイアウト率。そこでNoirメンバーだったとしてトータルどの程度のペイアウトになるのか計算してみることに。

99.54%+(0.1%+0.1%+0.033%)×1.4=99.862%

やっぱりダメでした。確率が長期的に収束すれば確実に損します。さすがにうまくできている。

今度はまた目標を変え、多少損が出ることは目をつむってゼロの状態からMGM最高のステータスNoirを目指してみるのはどうだろうかと考えてみる。NoirになればMGM系列のホテルでショッピングが30%割引になるほか、ほぼ全ての行列をカットでき、さらにはホテルのスイートに無料で泊まれたり、空港からの送迎があったり、ラウンジが使用できたりとVIPサービスが盛りだくさんなのである。そこで得意のモンテカルロシミュレーションを駆使してNoirステータス獲得のためのシミュレーションをしてみることにした。計算は損が最少、かかる時間が短く、そしてボラティリティができるだけ小さくなるようにJB9/6の1ドルかけ10ラインをベースにした。100ドルかけの機種ならすぐに達成できるが、ボラティリティが高くなりすぎてしまい、よほどのハイローラーでなければ大損の危険があって難しい。ある程度回数をこなして確率を収束させる必要があるのである。

【前提条件】

1.    Noir達成のために必要なTierクレジットを推定100万とする。(Noirはインビテーションオンリーだが、ネットの情報を総合するとそのあたりが妥当)ただし、途中ステータスが上がっていくなかでTierクレジットの獲得にボーナスが付くため、それを考慮し実質79万Tierクレジットの獲得でNoirが獲得できることとする。

2.    10ドルの消費で1Tierクレジットを獲得する。

3.    ビデオポーカーのボラティリティ(標準偏差)は

http://wizardofodds.com/games/video-poker/appendix/3/

を参考にして計算する。

4.    現金と同等の価値を持つ各種ポイントはシンプルに収入として計算する。各Tierボーナスも考慮する。

5.    モンテカルロシミュレーションにはExcel用アドオンの「@risk」を使用する。

6.    一度のミスもないと仮定する(Winpokerというアプリがあれば100%パーフェクトにプレイすることが可能)。

7.    1時間のプレイで500ハンドプレイできるものとする。

上記条件を基にモンテカルロシミュレーションを1,000回回して得られたのが以下の結果である。

平均収入: $-1311.52 (理論値$-1309.59)

儲かる確率: 45.7%

$5,000以上儲かる確率: 30.1%

$10,000以上儲かる確率: 17.5%

$5,000以上損する確率: 38.1%

$10,000以上損する確率: 23.7%

取得にかかる時間=トータル158,000ハンド÷1時間500ハンド=316時間

一番損とボラティリティが少なくなる方法を持ってしても$10,000以上損する確率が23.7%もある。そして316時間ミスなくプレイしなければならない。寝ずに頑張ったとしても13日と6時間かかる。2週間の旅行ではほぼ不可能だ。$100かけマシン×10ラインであればたったの3時間余りで達成できるが、標準偏差が$121,238.7という恐ろしい数字になり、$100,000以上(1千万円以上!)の損が出る可能性が20.8%もある。

平均の$-1311.52で最高のホテルの最高のステータスが獲得できると考えれば、よくラスベガスに行くかたであれば十分元が取れるほどのサービスが受けられることで間違いない。ただし、予算が$10,000程度ではあっさり溶けてグッバイベガスとなる可能性がかなり高い。また、一人で頑張ることを仮定すると最低1か月程度は滞在しないといけない上に、ポイントは1年に1回リセットがかかる。

いかにNoir獲得が難しいか理解いただけただろうか。多分途中で多くの人が面倒になって読むのをやめていると思う。しかし、どうしても世界最大のカジノグループで上位0.1%と言われるハイローラーNoirの称号を獲得し、額縁に飾りたいという人もいるだろう。そんな人のためへの攻略を考えてみた。

1.    ローローラー(一般人)向け: 一般人にはどうやっても無理です。ありがとうございました。

2.    ミドルローラー(そこそこ富裕層)向け: 予算は最低$30,000用意すること。友人や奥様と2人で行って同じアカウントのカードを2枚発行してもらい、ポイントを合算する。2週間の旅行で最低1日12時間プレイする。ご飯は全部コンプで1日1食。その他娯楽は一切禁止。ストイックに自分と戦い続けること。

3.    ハイローラー(超金持ち)向け: 予算は最低$300,000用意し、一般フロアに目もくれずハイリミットルームに直行すること。3時間まったりマティーニを楽しみながらエンジョイすること。

ギャンブルも確率論で考えてみるとなかなか奥が深いものである。では、そろそろ宿題やることにします。。時間使いすぎた。

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計算の残骸。

Oculus初体験

Oculus初体験

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今週のシネマスクールの授業は、FOXのスタジオでメディアの将来についての集中講義。実際に学生が写真のOculusを体験して未来を実感した。簡単に説明すると眼鏡になっている部分から映像が見え、センサーによって頭を動かすことで映像が合わせて動く。デモでは森の中で自由に周囲を見渡すことができた。

没入感が高く、デモは非常によくできているのだが、正直この手のものは昔からある。任天堂のバーチャルボーイに始まり、最近ではソニーのHMDなど。5年くらい前には、頭を動かすと映像も動くタイプのゲームと連動したOculusにそっくりの商品を秋葉原で見たことがある。要は特別な技術なんて大して無いのである。それがプロトタイプから2年やそこらでFacebookに20億ドルで買収されたのだからすごい。

では何が特別だったのか。肝心要はマーケティングだったと私は思う。Kick Starterでクラウドファンディングというニュース性の高い資金調達に始まり、おばあちゃんや子供が付けて驚く様子の動画が共有されることで「一度試してみたい!」と思わせるワクワク感、そして350ドルという手が届きそうな割安感。これらが一気に広まった理由だろう。ちなみにOculusは元々USCの研究所のプロジェクトが元になっている。そして、タイミング。これらマーケティングのピースが揃うためには、10年前よりも今がベターだったのは間違いないだろう。

ゲーム界の巨人、横井軍平氏の言葉で「枯れた技術の水平思考」という言葉がある。要は、すでにある技術を繋げて新しいものが作れないか、ということ。任天堂のWiiなどはその典型例であろう。そして、ヘッドマウントディスプレイがブレイクスルーするきっかけとなったこのOculus。その横井軍平氏が手掛けたヘッドマウントディスプレイの先駆け、バーチャルボーイが今から20年も前に世に出ていたとは、何とも皮肉な話である。

ブリザードとライオットゲームスを訪問

ブリザードとライオットゲームスを訪問

昨日は学校のクラブ関連のイベントでブリザードとライオットというトップゲーム企業2社を訪問。ブリザードはもう社内に入るのは6回目だろうか。もうほとんど社内の構造も把握してしまった。ライオットはLeague of Legendsという現在世界最大規模のゲームを運営しており、数年前に中国テンセントの関連企業となった。今回が初めての訪問。

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受付のこれを見るのも6回目。

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今回面白いものを発見したので掲載。エントランス前の銅像の前にあるプレート。非常にシンプルにブリザードエンターテインメントのフィロソフィーが記されている。

“DEDICATED TO CREATING THE MOST EPIC ENTERTAINMENT EXPERIENCES… EVER”

“歴史上最も素晴らしいエンターテインメント経験を創り出すことに捧ぐ。”

今日本で大見栄切ってこんなことを宣言できるゲーム会社なんてあるだろうか。この鉄の掟こそが、ブリザードエンターテインメントを最高のゲーム会社にした理由だろう。他のゲーム会社と同様に顧客データの分析チームはあるが、必ず全てのゲーム内容の決定権は開発側にある。スケジュールは無いに等しく、開発側がブレずにとことんこだわってゲームが作れる環境が整っているのだ。それが、Diabloの主要メンバーが抜ける騒動があった後も一貫して素晴らしいゲームを提供し続けられた理由だろう。

このプレートの周りには、中心となるプレートの内容を噛み砕いた哲学が刻まれたプレートが円を描いている。「電通鬼十則」のブリザード版だろうか。

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“GAMEPLAY FIRST”

「ゲーム体験が全てに優先する」

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“COMMIT TO QUALITY”

「クオリティへのコミット」

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“EVERY VOICE MATTERS”

「重要でない声などない」

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“EMBRACE YOUR INNER GEEK”

「内に秘める”オタクさ”を大切に」

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“PLAY NICE PLAY FAIR”

「ナイスに、フェアにプレイすること」

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“THINK GLOBALLY”

「世界志向であれ」

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“LEARN & GROW”

「学び、成長せよ」

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“LEAD RESPONSIBILITY”

「責任をリードすること」

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こちらは来年リリース予定の新作OVERWATCHのポスター。うーん、かっこいい。

2社目のライオットは写真撮影が禁止だったため残念ながら写真はなし。社内は自社ビルでないためかブリザードと比べると割と普通。社内にPCBAN(いわゆる韓国版のネットカフェ。韓国人はネットカフェからゲームを遊ぶ人が非常に多い)があったのと、「Wall of Fame」という、成果を挙げた人の名前を刻んだプレートが壁に飾ってあったのが印象的。新規のゲーム開発はあまり進捗していないようで、ゲーム会社というよりは巨大な一つのゲームを運営する運営会社のような印象を受けた。本当に会社によっていろいろと違いがあるものである。