ソーシャルゲームの今

ソーシャルゲームの今

昨日再び熱い友人と共にUSC卒業生、在校生ベンチャー向け施設である「Incubatrix」を訪れた。選考を通過すれば7,000ドル無償で提供される上、施設内のスペースが自由に利用できるようになる。いい機会なのでちょっと真面目にゲームの会社をスタートしたらどうなるだろうかとシミュレーションしてみることにした。

まずソーシャルゲームの現状について。ほんの少し前までウェブ上で動くゲームが主流だったが、今はiPhoneやAndroidの上でアプリケーションとして動く、いわゆる「ネイティブ」と言われるタイプが主流になってきた。それに伴ってよりゲームはリッチ化が進み、1億円くらいは最低予算がないと現状のトップランカーと戦うのはなかなか厳しい状況である。7,000ドルでは全然足りない。それでもプレイステーション用ソフトなどと比較すればかなりコストは低いのだが、コンシューマゲームは過去の実績から売上本数がある程度読めるのに対し、ネイティブアプリはランキング上位のごく一部に仲間入りできなければ元本回収すら厳しいのではないかと思うほど「ゼロサムゲーム」の状態である。パズドラのガンホーですら、パズドラ以外にヒットらしいヒットは皆無なのだ。

ゲームメーカーからしてみれば、「勝負をかけないと生き残れない、勝負をかけても十中八九死ぬ。」という非常に厳しい状況であると言える。DeNAがゲーム会社からの脱却を宣言したのは、ある意味経営上正しい選択だろう。

そんな中仮にゲーム会社を新たにスタートしたとして、果たしてうまくいくだろうか。一番大きいのは資金調達の壁。一億円も十中八九負けるギャンブルにベットしてくれる人なんかいるんだろうか。USCのクラスメートをチラチラ見る限りは多分いる。しかしながらギャンブルと分かっていながら資金提供のお願いをするのはなかなか勇気がいるものだ。

そこで、全く新しいタイプの低リスクモデルを考えてみることにした。

「①キャラクターなどの資産を利用してゲームを作り世に出したい会社」>>資金提供>>「②プロデュース専門の会社(開発・運営を管轄)」>>外注>>「③複数の開発会社」

②の部分を切り出して会社化する、というのはどうだろうか。①+②=元々私がいた以前の職場そのままで、そこから①だけ取り除くことにする。

フリーのプロデューサーに近いかもしれない。映画業界ではよく聞くが、ゲーム業界でフリーのプロデューサーというのはあまり聞かない。

①からこんなゲームが作りたいという要望と資金提供を受け、それから開発会社に仕事を発注することで理論上はキャッシュサイクルがマイナスになるためリスクはゼロに近くなり、元手も必要なくなる。お金を払う前に開発会社のラインが押さえられるのかという問題はあるが、基本的に必要なのは営業努力だけ、資金面のリスクは全て①が負うことになる。開発費の中抜きをする形になるため、低リスク・低リターンのモデルである。

「ソーシャルゲームの先端を走る日本のゲーム会社で御社のキャラクターを使ったゲームを開発し、ワールドワイドに展開しませんか?今なら2年前と比べて日本円が30%もお安くなっております!もちろん完成したゲームの権利は全て御社のもの!」といった口説き文句で乗ってくれるアメリカの会社があるだろうか。ふーむ、今あるネットワークを使ってトライしてみる価値はあるかもしれない。

そんなこんなで一時帰国の日を迎えることになった。日本に帰っても色々とキャリア関係の宿題が山積みなのでネットカフェあたりに籠ることになるかもしれない。その合間にいくつか開発会社を回ろうかと思っているので、ちょっとこのアイデアについても話を聞いてみようかな。

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