MBA的ソーシャルゲーム考① KPI編

MBA的ソーシャルゲーム考① KPI編

サイトのURLにSGと付けている以上、ソーシャルゲームのことも書かねば、ということで忘れないうちにメモをまとめておきたい。ちょっと前の記事だけど、今年の第一四半期にほぼ2タイトルのみで1.79億ドル売り上げたというフィンランドのSupercellさん。

http://svjapan.blogspot.com/2013/05/2179supercell.html

この分野のマネタイズでは日本が先行していると思ってきたが、想像以上に海外のスピードが早い。焦る。

さて、今回は第一弾ということで、KPIと呼ばれるものの基本的な考察から。MBA的と書いたのは数字的に深くつっこみたいからで、特に深い意味はなし。

ソーシャルゲーム、オンラインゲームのプロデューサーは、ゲームがリリースする前も大変だが、リリース後もKPIという数字を追っかけて一喜一憂、PDCAサイクルを繰り返すことになる。KPIとはKey Performance Indicatorの略ですなわち課金率など売上に直結する重要な指標のこと。

いわばゲームの成績表であり、リリースしてから数日のKPIを見ればこれまでの経験からその後の数字の変化が分かってしまい、悪かった場合は大抵復活不可能で担当プロデューサーはそれから約1ヶ月間最悪の鬱状態に陥る。本来KPIは各指標を目標に向けて改善するために取得するものだが、KPIが良くないゲームは抜本的な改革が必要なことが多く、良くなるか分からないゲームに予算を突っ込んでテコ入れしている余裕はない、ということである。

主なKPIは以下の通り。

・LTV
<読み方>ライフタイムバリユー、エルティーブイなど
<意味>一人入会してやめるまでに払う合計金額。入会から12ヶ月とかで期間を切って出す場合もある(その場合もなぜか12ヶ月LTVとか呼ぶ)。これとCPA(獲得一人あたりの単価)を比較して広告出稿の可不可を決める場合が多い。
<使い方>「LTVは○円なので、CPAを考えると12ヶ月で十分元取れます」

・継続率
<読み方>ケイゾクリツ
<意味>入会して○日後、△ヶ月後にゲームをした人の割合
<使い方>「翌日継続率が後5%ほしいですね」「30日後継続率高いなー」

・ARPU
<読み方>アープ、アルプ、エーアールピーユー
<意味>アクティブユーザー一人当たりの平均課金額
<使い方>「デイリーのARPU100円は欲しいですねー」

・ARPPU
<読み方>エーアールピーピーユー
<意味>課金ユーザー一人当たりの平均課金額
<使い方>「月間のARPPU20,000円はちょっと高すぎて不健全」「若年層メインなのでARPPUが上がりません!」「これはARPPUを上げる施策です」

・課金率
<読み方>課金率
<意味>アクティブユーザーのうち課金者の割合
<使い方>「この日はガチャ更新により課金率6%いきました!」「月間の課金率高いね」

◎考え方
LTVが最も重要とされる。これとCPA(獲得一人あたりの単価)を比較して広告出稿の可不可を決める場合が多い。
シンプルに考えるとLTV>CPAとなっていればいくら出稿しても儲かることになる。ただし、実はLTVとCPAの計算だけでは全っ然足りない。今はソーシャルゲーム関係者は猫も杓子もエルティーブイ、えるてぃーぶいと言っているが、真に正しく理解している人は極々少数であると感じる。多くの人が気づいていないLTVの嘘については後日記載予定。

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◎LTV計算式
LTVはARPPU、課金率、継続率の3大要素からなる

ARPPU×課金率=ARPU
LTV=(入会1月目ARPU)+(入会2月目ARPU×2ヶ月目継続率)+(入会3月目ARPU×3月目継続率)…(入会○月目ARPU×○月目継続率)…
始まったばかりのゲームの場合、数カ月分計算してその後の動きを予測する必要がある。
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