経済の基本的な考え方で、Comparative Advantage(比較優位)とAbsolute Advantage(絶対優位)という考え方がある。例えば、以下の2つの国があったとする。
iPhone1個製造にかかる労働力 | トウモロコシ一個製造にかかる労働力 | |
A国 | 8 | 2 |
B国 | 10 | 4 |
この場合、A国が全ての品目に対して製造にかかる労働力が少ないのでA国がB国に対しAbsolute Advantage(絶対優位)を持っているということになる。
ただし、モロコシを基準に考えた場合、A国はiPhone1個に対しモロコシ4個分の労働が必要なのに対し、B国はモロコシ2.5個の労働で済むので、B国がiPhone製造に関してA国に対しComparative Advantage(比較優位)を持っているということになる。
この場合、それぞれの国で勝手きままに製品を作るよりもA国がモロコシに注力し、B国がiPhoneに注力、後でトレードなりなんなりすることで全体の生産量は飛躍的に高まるのだ。
これが国と国との輸出入の仕組みである。例えばアメリカが広大な国土と気候を背景に野菜や穀物などの分野でComparative Advantage(比較優位)を持つのに対し、衣類などの単純労働が大量に必要なものに対しては中国がComparative Advantage(比較優位)を持つ。
これを人に当てはめるとちょっと面白い。誰かに対し全ての分野に優れた、Absolute Advantage(絶対優位)を持っている人なんて存在しない。そのため、それぞれの持つComparative Advantage(比較優位)を武器に仕事をしていくことになる。音楽に優れている人は音楽で、スポーツに優れている人はスポーツで、デザインに優れている人はデザインで…。ただ、需要と供給の関係で例えば競馬の予想に優れた人ばかりいても経済が立ち行かなくなってしまうので、国が中高大と教育を通じて需要がある、つまりお金になりそうな分野にComparative Advantage(比較優位)を持てるよう誘導していっているのだ。
もし成功したいのなら、自分の置かれた環境や経験から、Comparative Advantage、つまり自分が他人よりも優れている≒情熱を燃やせる分野を早期に発見し、それを伸ばしていくことが最善ということになるだろう。誰にも一つや二つ、他人よりも優れている部分が絶対にあるはずなのだ。
最後に、最近知ったありがたいお言葉をご紹介。
“One of the huge mistakes people make is that they try to force an interest on themselves. You don’t choose your passions; your passions choose you.” - Jeff Bezos
“人々が犯す大きなな間違いの1つは、彼らが自分自身の興味を強制しようとすることである。あなたがを情熱を選ぶわけではない。情熱があなたを選ぶのだ。” ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)