中国産のゲームを考察する

中国産のゲームを考察する

昨日母が無事日本に帰国。昨日、今日と珍しくロサンゼルスは曇っている。来てくれたタイミングが良かった。

ところで、今中国系のゲーム会社のアメリカ支社でインターンをしているのだが、ここに来て中国産のスマートフォンゲームに触れることが多い。恐らく多くの人は触ったこともないと思うので、その特徴を挙げてみたい。ちょっと業界よりの話なのでご容赦のほど。そういえば遠い昔にMixiで流行ったサンシャイン牧場は中国産だったか。

1.ゲーム内容が異常に充実している

なんというか、ゲーム内の全ての遊びの部分が、「ああ、これ良く見るやつだ」という感じの内容で構成されている。通常日本でゲームを作る時は、はじめに色々と入れたほうが良さそうな機能をピックアップして、予算やスケジュールの関係などで削っていった結果、シンプルにいわゆる「ガチャ+合成」という機能と、パズルだったり遊びとしてちょっと楽しめる要素が残り、後は細かい調整だとか戦略部分に時間を割いたりする。ところが、中国産のゲームは全ての機能がてんこ盛り。日本のゲームの3倍くらいのボリュームがあり、一日にこなさなければいけない最低限のことだけで合計すると3時間くらい遊ばなければいけなくなる。人海戦術のなせる業である。

2.全然考えていない

とりあえず異常な量のコンテンツが入っているものの、全然練られていないので面白くなかったり、売上に全く結びついていなかったりする。ぎりぎりのところでなんとかゲームバランスが崩壊せずに保たれている。

3.誰もゲームの全体像を知らない

担当者にゲームの内容について確認すると、「確認するよ」という謎の返事が返ってくる。担当しているのに深く遊んでいないのでジャングルのようなゲーム内容を隅々まで理解していない。驚くのは、誰一人として全てのゲーム内容を把握している人がいないこと。ゲーム内容ばかりでなく、担当のゲームの売上すら正確に把握していない。日本だったら担当失格レベルである。

4.アップデートがしづらい、というかほとんどしない

日本のゲームであれば、矢継ぎ早にアップデートが入って日々更新されていくものだが、こちらでは誰も全体像を把握していないため、恐らくプログラムのソースコードに触れるのが怖くてアップデートをしたがらない。なのでたまーにキャラを追加したりするだけで、後はフォーマット化されたイベントが延々繰り返される。ゲーム内誤字脱字を永久に直さない。

 

中国産のゲームについてまとめると、足りていないものは何一つない!全部入り!という感じの内容で、一体どれだけ工数をかけたのだろうと非常に驚く。ただし作りがやたら雑で運営クオリティも非常に低いことにもっと驚く。ちょっとコンサルが入って内容が良くなれば化けそう、と思っても改修が難しいのでそうもいかない。なかなか難解である。

でも、売り上げている。少ない人数で月一本くらいのゲームを北米でリリース、どれもそこそこ売り上げているのだからすごい。トップは狙わない、でも数で稼いでトータルで利益を上げる。こういうビジネススタイルもあるのかーと目からウロコが落ちることが多い。北米のスマートフォンゲームはランキング圏外でも十分に稼げる裾野の広い産業になりつつあるようだ。

Comments are closed.