Feature Film Financing and the Studio System その8

Feature Film Financing and the Studio System その8

スタジオが製作した映画の広告は100億円以上のコストがかかることがザラであるが、どんなにケチっても最低6億円かかるらしい。というのも、プロモーション内容のFIXに結構な時間がかかり、その時間をトータルして6億円くらいのコストになってしまうらしいのだ。いやはや、想像もつかないとんでもない話である。Identify AudienceとHow to reachが重要とのこと。意外だったのは、Trailor(PV)を作る費用は数百万~数千万円程度とのことで案外大したことはないということ。ここはゲームのPVと大差はない。

広告の開始時期については、公開の2~3週間前からが基本。トランスフォーマーのような超大作映画のみ2か月前から開始するとのこと。ただし、6か月前からTrackingといってムービーの知名度、どのムービーがファーストチョイスになるか、どうやって映画を知ったかなどを定期的にチェックするとのこと。競争相手に負けないように広告を投入していくことになる。基本的に映画は女性主導で観に行く場合が多いそうで、Trackingの結果男性の評価が高くても安心は禁物。逆に女性の評価が高いものは男性の評価が低くても結果的に女性に連れ出されて観に行くことが多いそうだ。

続いて試写会について。試写にはいろんな目的があるが、メインは映画のチューニングをするためらしい。いい監督は試写に多く行ってダメなところをFIXするんだそうだ。リチャード・ギア主演のOffice & Gentlemanという映画では、リチャード・ギアが苦労して石を運ぶシーンを入れたところ、試写におけるレーティングがなんと62→96までアップしたそうだ。人は主人公がどん底から這い上がるところが好きだったりするものである。

こうしていろんな過程を経て公開に至るわけであるが、公開時にコケるともう挽回のチャンスはない。また、近年はソーシャルメディアで情報を共有するよう時代になったので、評価の低い映画は簡単に淘汰されてしまうとのこと。なかなかに厳しい世界である。

余談になるが、映画業界における技術と広告、2つのパラドックスについて。CG技術の発達でエキストラをCGで合成できるようになったりコスト削減につながる部分があるものの、逆にできることが増えて結局コストが上がってしまっているのが現状らしい。広告についても、インターネットの登場で特定のターゲットにリーチできる方法が増えたものの、結局広告はなにがどう影響するのか分からないので、他の広告も今まで通り実施しており結局コスト増になっているだけのようだ。なかなかうまくいかないもんである。

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