ここでは留学経験のない受験生にとってMBA受験の最大の関門になるTOEFL iBTについて書きたいと思う。中学から大学までエスカレーター、TOEIC270というほとんど英語力がゼロの状態から始まったMBA受験は、TOEFLで105点オーバーが出るまで2年、合格が出るまで3年という長期間に及んだ。受験準備でかけた総時間でみると、TOEFL 8 : GMAT 1 : エッセイその他 1というイメージだ。それだけ英語力のない人にとって大きい関門であり、逆に英語が元々できる(≒TOEFL iBTで点数が取れる)人に取っては、MBA受験の負担はそれほど大きいものではないように思う。

真っ白な状態からのスタートだったため、将来同じような受験生の役に立つため自分を実験台とし、できる限り教材を絞って「ゼロからでもこれだけやればOKよ!」と将来新たな受験生に言えるようにすることをモットーとした。勉強時間は電車内がメインで毎日往復の1時間ほどで、休日は勉強せずに効率の良い教材を探したり自分で作ったりした。

①単語

☆ポイント1ー記憶のメカニズムを理解するー

単語は暗記なので、記憶のメカニズムを理解しておくと「これだけ覚えたのにほとんど忘れた!俺はバカなのか!」と自己嫌悪にならずに済む。「エビングハウスの忘却曲線」をご存知だろうか?ざっくり言うと人は「覚えた単語を20分後には42%忘れ、一ヶ月後には79%忘れる」というもの。逆に言えば1ヶ月経っても2割は覚えているわけで、粛々とこの2割を積み上げて100%に近づければ良い訳だ。長期的な記憶力に個人差はほとんどないと思う。

ForgettingCurve

[教材]TOEFL3800

この教材を選んだ理由は単純で、「一番多くの受験生がこれで勉強していたから」である。もしかしたらもっと良書があるかもしれないが、検証できないのでスルーした。

「LV1は8割分かっていれば飛ばしてよし!」と本書に書いてあるが、逆に8割以上分からずに愕然とした。LV3まででOKとしている人も多いが、そこまでやって単語力不足を感じるようであればLV4までやろう。LV3まで終わった時、LV4は知らない単語ばかり集まっている良質な単語集に感じるハズ。「LV4はGMAT用!」などと勝手に検証もせず言っている人がいるが、本書はTOEFLの単語帳。ただ、これをやっておけばGMATと出題範囲はかぶっている気がするので特に別途GMAT用に単語は勉強しなかった。熟語も全然知らなかったので同じ著者の熟語本もやったが、点数への寄与度は不明。

☆ポイント2ー文明の力を駆使するー

デジタルハイビジョンのご時世に昔ながらの紙の単語帳で勉強している人もいるが、文明の力を最大限利用してスマートに勉強するべし!色々と試したが、iPhoneアプリの「単語カード」がシンプルで便利だった。100個づつ単語を区切って入力し(これがかなりめんどいのでバイトが雇えるといいです笑)、分からない単語に☆をつけていく。今度は☆をつけた単語だけソートして一つづつ覚えていく。覚え終わった後にまた分からない単語は☆2つとする。そんな感じで覚えづらい単語の☆の数を増やしていき、☆の多い単語を重点的に復習する。LEVEL4まで大体覚えきるのに一日1時間の勉強で10ヶ月かかった。覚えた後も定期的に復習が必要であり、その後の勉強時間も考えると一番時間がかかるパート。

②リーディング

☆ポイントー文章を塊で理解するー

単語をある程度覚えたら、洋書を一冊読んでみよう。おすすめはシドニィシェルダンの「ゲームの達人」。理由は超面白いから!他の難しい本は読むのに根気がいるので、「一日5ページ読むぞ!、ハァハァ今日は3ページでよしとするか」となり続かなかった。これは読みやすい上に楽しめるので一石二鳥。これ読み終わったら一旦リーディングの勉強は終了。文法の勉強はする必要なし!読み終えたころには英文をあまり止まることなくスラスラ読みこなす感覚が身に付いているはず。それでOK。あとは実践でトピックと問題に慣れていく。何回か本番を受けていると不思議と20点台後半で安定してくる。

③リスニング

リーディングと必要な能力はあまり変わらないので、リーディングができるようになれば、ゆっくり音声が流れれば理解できるはず。ここはつまるところ「慣れ」と「集中力」であると思う。

[教材]TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000語

TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000語はTOEFLのトピックについて学べるばかりでなく、リスニングと3800でカバーしていない単語までを学べるので一石三鳥。特に「慣れ」の部分に有効。

☆ポイント1ーディクテーションー

リスニングの勉強は何から手をつけたらいいのか分からず、適当に流し聞くことで勉強した気になってしまうのが一番の落とし穴。色々試したがディクテーションが一番効果があったと思う。シャドーイングも効果があると思うが、家でしかできないので他の誘惑を断つ強い心が必要となる。私の場合はTOEFLテスト基本ボキャブラリー2000語の音声をフリーソフトで文単位に分割し、以下のような音が出るエクセルシートを作った。

ListeningPractice1

左側のセルをクリックすると音声が文章単位でループ再生され、右側のセルに聞こえたままの文章を記入していく。間違えた部分は赤字にすると、自分の理解できない発音や知らない単語が浮かび上がってくる。これを単語帳に入れて一つづつ潰していった。わざわざ音声を分割したりエクセルを作るのが面倒であれば、ちょっと効率は落ちるが部分リピート機能がついたウォークマンで対応出来る。

☆ポイント2 ー集中力を高めるー

一時TOEFLで105点超えは不可能じゃね?と思い始め、IELTSに浮気したことがあった。結局私にはIELTSはフィットしなかったが、副産物としてリスニング力が大幅に強化された。(リーディングが得意な人にとってはIELTSはTOEFLよりも点数が出やすく、有効なオプションになり得ると思う)

やった教材はCambridgeのセルフスタディパック。IELTSは文章の傾向は似ており、かつリスニングの問題はディクテーションが主になっているため、集中力が身に付く。これを1冊やったところ単語単語の粒が立ってクリアに聞こえるようになった。ここで20点台後半で安定。

④ライティング

インディペンデントタスク

ライティング添削で有名なJackのテンプレートを使用したが、意見をサポートする理由を3つ考える必要があって点数が伸びなかったため、2つだけで済むようにテンプレートを変更したところGoodで安定した。テンプレートは以下の通り。テンプレートと例文を丸暗記すればまずGoodは取れるが、内容にミスがあっても責任は持てません。。

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【段落1-訳文】
In recent years, the personal values of individuals living in affluent societies have diversified, and people have developed disparate opinions about < テーマ >. Those opinions vary with the viewpoints from which < テーマ’ > has been regarded. I propose to discuss < テーマ’ > from the viewpoint of < 基準 >. Considering it from this perspective, I agree/disagree with the statement, “< 問題文 >” Let me show you what I mean.

【段落2-訳文】
First, < 問題文’ > brings us < 理由1’ >. For example, our opportunity(ies) for ( ① ) are limited without it. < 問題文’ > provides us with the possibility(ies) of ( ①’ ). By doing this, people can also ( ② ). I believe this is a factor of great importance.

【段落3-訳文】
In addition, < 問題文’ > gives rise to < 理由2’ >. This is exemplified by the chance(s) it gives us to ( ③ ). < 問題文’ > enables us not only to ( ③’ ) but also to ( ④ ). The significance of these must not be underestimated.

【段落4-訳文】
However, different standpoints can lead to different opinions. Some people will dissent from my views. They will protest that < 反対意見 >. Nevertheless, they will eventually have to agree with me if they give due consideration to the arguments I have just put forth. What I insist on is that you should attach great importance to < 基準’ >.

【段落5-訳文】
As a result, from the perspective of < 基準’ >, people will find larger benefits in < 賛成意見 > than in < 反対意見’ >. <段落2の1行目コピペFirst~>. <段落3の1行目コピペIn addition~>. For the above reasons, I agree/disagree with the statement, “< 問題文 >.”

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以下説明
【段落1-訳文】
< テーマ >  名詞(句)を入れてください。
< テーマ’ >  < テーマ >を代名詞、または同様の意味を表す別の名詞で表現してください。
< 基準 > 名詞(句)を入れてください。
< 問題文 > 接続詞thatに導かれる名詞節を入れてください。S + V (+ O, Cなど)
< 理由1 > 理由をあらわす文を入れてください。S + V (+ O, Cなど)
< 理由2 >  理由をあらわす文を入れてください。S + V (+ O, Cなど)

【段落2-訳文】
< 問題文’ > 段落1の< 問題文 >を、同じ内容を表す名詞(句)で表現してください。
< 理由1’ > 段落1の< 理由1 >を、同じ内容を表す名詞(句)で表現してください。
( ① ) 動名詞を入れてください。
( ①’ ) 動名詞を入れてください。
( ② ) 動詞、目的語などを入れてください。V (+ O, Cなど)

【段落3-訳文】
< 問題文’ > 段落1の< 問題文 >を、同じ内容を表す名詞(句)または代名詞で表現してください。
< 理由2’ > 段落1の< 理由2 >を、同じ内容を表す名詞(句)で表現してください。
“( ③ ) opportunitiesの内容を、to-不定詞で表現して入れてください。ただし”"to”"はかっこの外にすでにあります。”
“( ③’ ) to-不定詞を入れて、S + V + O + C の文を完成させてください。ただし”"to”"はかっこの外にすでにあります。”
“( ④ ) to-不定詞を入れて、S + V + O + C の文を完成させてください。ただし”"to”"はかっこの外にすでにあります。”

【段落4-訳文】
< 反対意見 > 接続詞thatに導かれる名詞節を入れてください。S + V (+ O, Cなど)
< 基準’ > 段落1の< 基準 >と同じ、又は同じ意味を表す別の名詞(句)を入れてください。

【段落5-訳文】
< 基準’ > 段落1の< 基準 >と同じ、又は同じ意味を表す別の名詞(句)を入れてください。
< 賛成意見 > 動名詞を入れてください。
< 反対意見’ > 段落4の< 反対意見 >を、同じ内容を表す動名詞で表現してください。
< 理由1’ > 段落1の< 理由1 >を、同じ内容を表す名詞(句)で表現してください。
< 理由2’ > 段落1の< 理由2 >を、同じ内容を表す名詞(句)で表現してください。。
< 問題文’ > 接続詞thatに導かれる名詞節を入れてください。S + V (+ O, Cなど)
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以下、テンプレートを使用した例文です。

テーマ:伝統文化<traditional culture> 基準:国のアイデンティティ<national identity>

In recent years, the personal values of individuals living in affluent societies have diversified, and people have developed disparate opinions about <traditional culture>. Those opinions vary with the viewpoints from which <the subject> has been regarded. I propose to discuss <cultural heritage> from the viewpoint of <national identity>. Considering it from this perspective, I agree with the statement,
“We have to pass it on from generation to generation into the future.” Let me show you what I mean.

First, <inheriting traditions> brings us <a spiritual bond with each other>. For example, our opportunities for (joining social activities) are limited without it. <It> provides us with the possibility of (coming into contact with people from diverse backgrounds). By doing this, we can also (gain a sense of responsibility towards social duties). I believe this is a factor of great importance.

In additon, <having an interest in your culture> gives rise to <respect for other people and cultures>. This is exemplified by the chances it gives us to (help each other beyond national boundaries when we face a global crisis). <It> enables us not only to (participate in world affairs positively) but also to (consider our own future more seriously). The significance of these must not be underestimated.

However, different standpoints can lead to different opinions. Some people will dissent from my views. They will protest that <retaining old conventions prevents us from developing for an advanced future>. Nevertheless, they will eventually have to agree with me if they give due consideration to the arguments I have just put forth. What I insist on is that you should attach great importance to <your own national
identity>.

As a result, from the perspective of <national identity>, you will find larger benefits in <making an effort to preserve it> than in <abandoning our unique cultural heritage>. First, <inheriting traditions> brings us <a spiritual bond with each other>. In additon, <having an interest in your culture> gives rise to <respect for other people and cultures>. For the above reasons, I agree with the statement, “We have to pass it on from generation to generation into the future.”

 

インテグレイテッドタスク

agosのiPhoneアプリ(安い!)にテンプレがあるのでそれを丸暗記した。あとは集中力とタイピング勝負。途中で聞こえたキーになる単語をメモって簡単な文章で構わないので「できる限りたくさんキーワードを含めて」書く。ライティングは個人のJackの添削サービスが有名だが、ウェブトフルの添削と両方使った結果、ウェブトフルの方が優秀だと思う。3回くらい添削してもらえばばっちり。

⑤スピーキング

最後の関門、スピーキング。これもagosのテンプレを丸暗記で対応した。ただし点数は22点止まりだった。通いではなくネットの受講の方でテンプレだけ入手できればOK。ライティングと違いテンプレを思い出すのに時間がかかっていては戦えないのでそらで詰まらずにテンプレを暗唱できるまで練習した。TOEFLの会場にはギリギリ遅めのタイミングで入ろう。ちょうどダミー問題のタイミングで途中で先人の戦いが聞こえてくるのでいい予習になる。ちなみにスピーキングの指導はDonald Millerという人が有名だが、「発音が悪いから」と理由で授業を受けさせてもらえなかった。粘って交渉したもののNG。ヒドイ。。

⑥模試

模試はBarronsの本買うと付いてくるPC上でできる模試が一番良い。理由はパートごとに分かれていて、勉強がしやすいから。しかも途中で止めて再開可能。不満があるとすればリスニングの出題傾向が若干異なるという点くらい。windows搭載のタブレットなんかに入れれば重い本を持ち歩かずに済んでスマート!これを2周くらいやった。

⑦実践

一通りやったかな、いやーでもまだまだかな、でもモチベーション落ちてきたかな、くらいの段階から毎週予約を入れた。はじめはモチベーション維持に効果を発揮し(始めのうちは受けるたびに徐々にですが点数があがっていくから嬉しい!)、90点台に乗ってからは2万円でスロットを1回回している感覚に陥る。私は合計21回受けた。ウェブトフルの先生が良い会場の予約が始まったことをご丁寧にブログで教えてくれるので、頻繁にチェックするようにしよう。

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