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Clash of Clansが面白すぎる

Clash of Clansが面白すぎる

先日のブログにも書いたゲーム業界の登り竜、Supercellの稼ぎ頭「Clash of Clans」(iPhoneやiPadでプレイ可能)。おそらくワールドワイドで一日3億円以上売り上げている化け物コンテンツだ。最近はまっているのだが、これが本当に面白い。

Clash-of-Clans_1

パズドラとのコラボイベント以降日本でも急速にトップセールスランキングを駆け上がってきている。違うタイプのゲームながら、結局コラボイベントによってパズドラからClash of Clansに人が流れ、パズドラの寿命を縮める結果になったのではないかと思わされるほどゲームの出来がいい。ぱっと見「ブラウザ三国志」のような「箱庭」×「戦争」のゲームなのだが、決定的に違う。異なる点は以下の通り。

1、建築にかかる時間が圧倒的に長い→時間短縮のための課金アイテムの消費も時間に応じて多くなる。

2、戦争がリアルタイムストラテジーになっている→ユーザーに攻め込まれないように考えて箱庭を作る必要があり(タワーディフェンス的要素)、かつ攻め込むべきマップは各ユーザーが考え抜いたものなので、攻め応えがある。

3、グラフィックが動的→プレイステーションくらいのクオリティでキャラクターが動き回るので見ていて楽しい。

1はまず、100円そこらのお金をかければ1日かかることをすぐに解決できるというブラウザ三国志モデルとは異なる。すぐに解決するにはお金を「たくさん」使う必要があり、ゲームを進めるにつれて時間短縮に必要なリアルマネーが加速度的に上がっていく。ガチャのように射幸心をあおるわけではないが、単なる箱庭ゲームより「使おうと思えば」圧倒的にお金がかかる仕組みなので、ガチャ抜きでも有料客単価(ARPPU)がカードバトルタイプのゲーム並に高いと想定される。

2は、ユーザーが箱庭を作り続ける限り無限にコンテンツが増えていくことを意味している。極端な話、運営は特にアップデートをすることなく半永久的に遊びを提供できるので、運営コストはかなり抑えられるだろう。しかもこの戦争部分が考え抜かれており、攻める側は兵種の構成や配置などよく考えて攻めないと勝てず、守る側もうまく大砲や櫓などの配置を考えないと負けてしまう、絶妙なバランスになっている。

3については、正直今ある日本産のソーシャルゲームが全て恥ずかしくなるくらいグラフィックの完成度が高い。日本が同じようなカードガチャのゲームばかりしこしこ作っている間に、文化や法的な問題でガチャに積極的になれなかったFacebookのFlashゲームがいつのまにか進化し、突如ガチャに匹敵する真っ当なビジネスモデルを伴って降臨してきた感じだ。

ソーシャルゲームの分野でも、日本がまた欧米の後塵を拝してしまう日がすぐそこにきている。

海外のメディアが日本のソーシャルゲームについて書いた記事が面白い。あとパズドラの嘘について

海外のメディアが日本のソーシャルゲームについて書いた記事が面白い。あとパズドラの嘘について

ロサンゼルスは日差しがやたら強いので、日陰で22度でも日なたの体感温度は30度くらいある気がする。西向きの部屋なので、6時か7時くらいの西日が差す夕方が一番部屋が暑くなるという不思議。

ちょっと読んで面白い記事があったのでご紹介。

Japan to experience “mini boom” in social casino

日本でソーシャルカジノのミニブームが起きている、という内容。記事の引用元が”Social casino intelligence”というサイトなので、内容をソーシャルカジノに結びつけたい意向が働いているのは確かだが、興味深い。

“Social game makers over here realize that the card battle frenzy will come to an end someday and are getting increasingly experimental by mixing adventure or RPG elements with social casino game mechanics,”

要は日本のソーシャルゲームメーカーがカードタイプのゲームの熱狂が終わることを認識して、アドベンチャーやRPGとソーシャルカジノを組み合わせたゲームをリリースしてきているということが言いたいらしい。

カジノとして挙げられていたのは以下のゲーム。

Konami – Dracolle & Poker

GREE – Poker Creature

Cybird – Dragon Poker

CyberAgent – Battle Slot

Sega – Dragon Coins

Magical Company – Pachinko Battle

確かにゲーム名を見るとカジノっぽいタイトルが並んでいる。ただ、日本で実際に作っていた側から見るとこれらは「パズドラのオマージュ」であって(一部プレイしたことないが)、カードゲームが飽和状態になり新規会員獲得が難しくなったため、カードゲームにカジュアルゲームの要素をくっつけて間口を広げようとした結果である。もちろん海外のソーシャルカジノを意識していた可能性はあるが、パズドラの二匹目のドジョウを狙いにいった作戦と見て間違いないだろう。課金の柱は「ガチャ+αで時間短縮アイテム」のままだ。だからこのリストに本家パズドラが含まれていないことにやや違和感がある。

ソーシャルカジノは今海外のスタートアップ界隈でかなりホットな話題らしい。一時オンラインカジノが法規制を受けて衰退したものの、今年の2月にニュージャージー州でオンラインカジノ法案が通るなど、各地で「ソーシャルカジノ」と名前を変えて盛り上がりつつある。

http://venturebeat.com/2013/07/01/zynga-no-longer-the-largest-social-casino-game-publisher/

こちらの記事によると、世界の市場規模は現在$1.2 billion(約1,200億円)で、年内に67%増えて$2 billion(約2,000億円)まで成長する見込みだという。かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだったソーシャルゲームの雄、Zyngaが現在この分野に全力投球しているのも興味深い。シェア一位の座は奪われたもののまだ15%のシェアを押さえ業界二位と頑張っている。Big Fish Casinoという会社はiPhoneのアプリだけで3ヶ月で$14.5 million売り上げているという。やはりこちらもモバイルが今後主流になるのだろう。日本でも電車に乗りながら暇つぶしでギャンブル、ジャックポットで1億円当てて卒倒する日が来るかもしれない。

こうやってみると日本のソーシャルゲームの流行と似ていなくもない。日本のソーシャルゲームでも、ガチャでアイテムゲット→ヤフオクで売却、というギャンブルは成立していた。最近はリアルマネートレードが問題視され、売上面でも案外マイナスがないのでトレードの機能をカットしだゲームが増えているが、ゲームの本質はギャンブル性の高い「ガチャ」で成り立っており、この点ではあまり海外のカジノゲームと変わらない気もする。モチベーションが「金」なのか、「自己顕示欲」なのかの違いだけだ。

ちなみにパズドラは「ポカポカ運営」を公言してユーザーに優しいゲームをアピールし、コンプガチャ問題で叩かれたグリー、Mobageのゲームに代わって賞賛されているが、騙されてはいけない。かつてプロデューサーがARPPU(有料会員一人当たりの一ヶ月の売上)が5,000円を超えないように気をつけていると言っていたが、2013年1〜3月の売上が月間100億円近くあることを考えると、とても低額課金者に支えられたコンテンツとは思えない。それにARPPUは安売りのイベントで課金率を意図的に高めることで低く見せることが可能だ。月100万円以上課金しているユーザーが何人いるのか公表してほしい。以下で未成年に課金制限を付けたとあるが、

http://www.gungho.co.jp/ir/uploads/irk_20130405.pdf

未成年への課金制限は実はほとんど全体の売上にインパクトがないずるい作戦である(しかも年齢は偽装可能)。本当にポカポカ運営にしたいのであれば年齢問わずユーザー全体に課金制限をかけるべきであり、それができないというのは経営へのインパクトが大きすぎるからだ。つまり高額課金者に支えられている証拠である。怪盗ロワイヤル→ドラゴンコレクションの流れに続く新しいジャンルを切り開いた素晴らしいコンテンツなのだが、あたかも「みんな低額で遊んでます」という風に見せかけるのはいかがなものか。グリーとモバゲーを叩きたいからパズドラを救世主にしたい気持ちも分かるが、やっていることはおんなじだ。

ゲーム関係者以外も注目するガンホー(パズドラの会社)の今年の4〜6月の決算は今月29日に発表される。