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怒濤の一週間が終了

怒濤の一週間が終了

USC Marshallの先輩から「最も苦しく、最も楽しい」と言われていた最初の一週間が終了した。何度もブログを書こうとしてパソコンを立ち上げたものの、書いている途中で寝てしまい書き終えられなかった。記憶の新しいうちに一週間を振り返りたい。

7月31日(水)
朝5時起床。この日より220人の学生が3つのコア(クラス)に分かれ、それぞれのクラスで授業がおこなわれた。

Tech & Library
ウェブサイトでの告知や学校でのネット経由での印刷などテクニカルな内容の説明と、オンライン、オフライン図書館の説明。大学の提供するリソースは膨大で、例えばウォールストリートジャーナルが数十年前から全てオンラインで検索、閲覧できたり、各国のGDPのグラフや研究資料が数多く揃っている。ただしウェブサイトは1つではなく広範囲に渡っておりチェックするのには骨が折れる。もっと効率の良いウェブサイトが作れないだろうか。

Teamwork at Marshall
コア対抗の運動会のようなゲーム大会。運動会といっても、体をハードに動かすことを求められるわけではなく、「限られた材料を利用して卵を2メートルの高さから落としても割れない構造物を作る」「細いプラスチックの材料を利用し、倒れない最も高い塔を作る」など、頭を使い、協力することが求められる。英語力の乏しい日本人にとっては、下手にリーダーシップを取ると集団をミスリードしてしまう可能性が高く、自分のポジションをうまく作っていかないといけない。残念ながら我々のコアは3位だったが、非常に盛り上がりチームの結束は深まった。

プログラムが終わった後はバーベキューでチームの仲を深めた。その後も休んでいる暇はなく、スタディグループで集まってグループの名前と規則について打ち合わせ。グループ名は準備していた私の案の中の一つ、「Tuna」が採用された。理由はグループのメンバーが皆寿司が好きだから。Tuna(まぐろ)は海の食物連鎖の頂点かつ寿司の王様であり、最高のチームを目指すという意味も込められている。

規則については、私から一つ。「今は英語力の問題でチームのディスカッションについていくのが非常に難しい。半年で必ず英語力を高めるから、それまでは話の流れを止めて申し訳ないが要点を逐一ディスカッション中に確認させてほしい。」みんな笑顔でOK。本当に皆優しい。その後帰宅して金曜日のケースコンペティションに向けケースを読み、要点をまとめチーム内で共有。夜1時就寝。

8月1日(木)
朝5時起床。この日は卒業生によるパネルディスカッション等を経て、夕方からケースコンペティションに向けてグループで打ち合わせ。

ネイティブのディスカッションについていくのは本当に難しい。みんな容赦なくトップスピードで話し、「Masaはどう思う?」と聞いてくる。耳がまだ全く追いついておらず、TOEFLのリスニングで満点近くを取った程度ではお話にならない。まだ頭の中で英文を構造化して口から出すことに慣れていないため、意見は一旦ホワイトボードに文章にした上で説明する戦略をとった。

ケースのお題は世界的な食料、飲料メーカーを5兆円投資してどう成長させるか。目を付けたのは、企業の規模や、消費者の健康をアシストするというビジョンと比べ、その企業が何をしているのか、認知度があまりにも低く、消費者からファーストチョイスになっていないという点。

そこで”80-80(エイティーエイティ)”という新しく壮大な目標を掲げ、世界規模でプレミアム商品の投入と大規模な広告キャンペーンを展開することを提案し、採用された。最初の”80″はブラインドテストで競合他社の商品と比較し80%の人が美味しいと思わなければ商品を流通させないという品質に関するコミットメント。次の”80″は世界の平均寿命を80歳まで高めることを目指し、商品の健康志向を強化して消費者の健康に貢献するというCSRに関するコミットメント。

続いてスライドの作成。「文字の多いスライドは嫌だ」という方針で皆の意見が一致し、ビジュアル重視のスライドを作成。今回のコンペではプレゼンテーションで使用するスライドが3枚までと限られるため、なかなかまとめるのは難しい。私がスライド作成も担当。皆パワーポイントしか使ったことがなく、MacのKeynoteの方が洗練されたスライドが作れるということを知らず、「Cool!」とほめられて嬉しい。

目処が経った0時過ぎ頃に解散。1時就寝。

8月2日(金)
5時起床。ケースコンペティション当日。先週のプレゼンと違い皆スーツにネクタイで神妙な面持ち。資料のFIX、印刷とリハーサルを入念におこなう。私は本番では80-80のビジョンに関する説明を担当した。日本と違い、アメリカ人はプレゼンで皆スクリプトを使う。皆話すことを一語一句書きとめて、暗記するのだ。日本では「プレゼンではキーとなるポイントだけ手元にメモを置いておき、話すことを丸暗記するな」と教えられていたが、こちらは台本を暗記し、それをナチュラルに話すことに重点を置く。Q&Aではとっさに答えられないため雄弁なアメリカ人におまかせ。質問に対する回答のアドリブ力はアメリカ人はさすが、プレゼン慣れしているな、というイメージ。

我々のプレゼンは学生の受けが非常に良かったものの、教授による採点ということもあってデータの裏付けが乏しい我々は最終ラウンドまで残れなかった。コンペの後は学年全体で打ち上げ。長い一週間が終わった。ようやくゆっくり眠れそうだ。

スタディグループ

スタディグループ

昨日は授業で組織論を学んだ。理想のチームとは何か?ダメなチームとは?まず手始めにSTRENGTH DEPLOYMENT INVENTORYという心理テストを受ける。私は平常時ブルー(周囲との協調を重視するタイプ)とレッド(リーダーシップを積極的に取るタイプ)の中間、ピンチの時には完全にブルーになるということが分かった。自分がどのタイプなのか把握しつつ、自分と他のタイプの人間の長所と短所を知る。

その後6人1グループとなるスタディグループの発表。年内最も長い時間を過ごすであろうとても重要なチームメイトだ。それぞれ、過去の嫌なチーム、最高のチームの思い出などを共有し、理想のチームについて語りあった。心配なのはやはり語学力の問題。ネイティブ同士の会話や、一部の先生の話はほとんど聞き取れないこともある。要旨についてはまとめて逐一文章化してもらうことに。どのような形でチーム貢献していけるのか、これから模索していきたい。

全体のオリエンテーション開始

全体のオリエンテーション開始

本日はアメリカ出身の人も含めたオリエンテーションの初日。やっぱりインターナショナルだけのオリエンテーションとは違う雰囲気。今日のケースディスカッションは前回のインターナショナルだけのものと違いかなりスピーディで、話のキャッチアップで精一杯。議論にジャンプインできなかったのが悔やまれる。

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220人が集まって懇親会。圧巻である。

本日クラス分けがあり、仲がいい人とことごとく違うクラスとなった。残念だが仕方ない。また仲のいい友達を作って、うまくやっていけるよう頑張りたい。

ところで本日の昼食は学校がバイキング形式で用意してくれたものだったのだが、食べ終わった後みんなテーブルの上にほったらかしで教室に戻っていった。片付けなくていいのか聞いたが、片付けもサービスに含まれているらしい。アメリカはとにかく面倒なことはアウトソーシングされていて、例えば洗濯機の普及率が低いのは服の洗濯に全てクリーニングを使う家庭が多いからだったり、ごみもダストシュートからなんでもかんでも放り投げるだけでよかったりする(業者が分別してくれる)。考え方は効率的で面白いのだが、人としての営みの一部を奪われているようで、ちょっぴり寂しい。

youの複数形はyou guys

youの複数形はyou guys

こちらは現在朝の8時。曇っていてとても涼しい。ロサンゼルスは砂漠気候の地域に近く、昼暑くても夜はとても涼しくなる。寒いくらい。ちなみに、こちらは建物内の冷房の効きがかなり強い。一説によると太った方に合わせているんだそうだ。寒く感じる人は服を重ね着しろとのこと。うん、確かに太った人多いかも。。日本で太っている人はお腹周りに脂肪がついているが、こちらではその少し下、おしり周りに肉がついている人が多い。人種の違いによるものなのだろうか。

オリエンテーションが始まって、会話の中で色々と聞きなれない言葉が登場する。タイトルの”you guys”その一つだ。寧ろ”you”単体よりも頻繁に会話で登場する。にも関わらず、日本で習ったことがないのは、やはり日本の英語教育がやや固すぎるというか、実戦に即していないのだろう。日本の英語教育は特に会話の部分において欠落していると感じる。少なくとも私は友人同士や先生と授業中に英語で会話する練習をしたことはなかった。野球でバッティングフォームを勉強しても打席で練習しなければ打てないのと同じで、話せなくて当然である。

今日はとある衣料品メーカーのケースを予習中。環境関連に力を入れているメーカーで、日本では過激な捕鯨反対運動で知られるグリンピースに資金提供していることが問題となった。このメーカー、広告宣伝費が売上の1%未満らしい。代わりに環境保護に寄与する製品や活動に思い切った投資をすることで無料のパブリシティを獲得し、広告宣伝費の代わりにしているとのこと。この発想は今までなかったので、大変興味深い。百聞は一見にしかずではあるが、こういったケースを何百と読みこなすことで、自分の引き出しが増やしていくことにはやりがいを感じる。英語の勉強にもなるので、英語が苦手な人ほど大変だが得られるものもきっと大きいだろう。

明日から学校も本番。明日から4つのクラスに分かれ、年内はそのクラスが基本となり授業がおこなわれる。まずはクラスになじめるよう、グループワークに貢献して、クラスメートの名前を覚え、友達を増やしていきたい。前回のプレゼンテーション以降、ことある毎に「あの国旗すごかったよ!」「どうやって作ったの?」と10人以上のクラスメートから声をかけられた。頑張れば必ず認められる。これはどこの国へ行っても変わらない真理なのかもしれない。

プレゼンテーション

プレゼンテーション

今日は初めてのプレゼンテーション。残念ながら表彰台は逃したものの、一人欠席し、二人がまだ生活のセットアップが終わっておらずあまり参加できなかった状況を考えると、健闘したほうだと思う。

敗因としては、発表が比較的シリアスな内容になってしまいあまり笑いが取れなかったこと。内容に興味のある人がお金を払って見に来ているわけでもないので、プレゼンテーションにもエンターテインメント性がなければ観客、審査員の集中力が持たない。現に1位、2位はそれぞれ笑いが大きかった順なので、内容というのは実は二の次なのかもしれない。

私は国旗のデザインを作ったので、その部分の発表をまかされた。不思議と、日本語でのプレゼンよりも緊張しなかった。その理由を考えてみたい。

英語の場合、こちらに来たばかりの日本人がネイティブのように自然に話すことはもちろん不可能。そのため話す内容を暗記さえしてしまえば、日本語でのプレゼンテーションのように「内容を丸暗記せずに自然に話さないと」とナーバスになることもなく、覚えた言葉を大きな声で、堂々と話すだけでOKなのだ。

ケーススタディの授業における後半の時間のように、今までの発言内容をまとめ、再構築して理路整然と話すアドリブ力が求められるものについては、相当高度な英語力が必要になると思われる。日本語でも難しいことなので、なかなかに高いハードルだが、二年間でそのレベルまで英語力を高められるように頑張りたい。

グループワーク

グループワーク

昨日はケーススタディの準備に追われて寝る暇もなく、ブログの更新が滞ってしまった。明日はグループワークのプレゼンテーションがあるのでまだまだ今日の夜も長そうだが、記憶の新しいうちに出来事をまとめておきたい。

7月23日(火)

11時学校集合。来たばかりで時差ボケの残る人がいるのを考慮して、朝が遅めになっている。22日が13時集合、24日は9時、25日は8時半と徐々に朝の時間に慣れていけるようになっている。

今日のカリキュラムは以下の通り。

・カルチャーショック

ロサンゼルスに来て驚いたことなどを生徒同士で共有するディスカッション形式の授業。噂に聞く通り、こちらの授業では常に発言を求められる。話す機会があるのであれば、順番が来るのを待つのではなく常に手を上げているくらいの心構えが必要だ。今のところ発言頻度は平均くらい、発言のレベルは下の下。どうしても英語だと文法を間違えずに話すことで頭が一杯になってしまい、思考が浅くなってしまう。

話に挙がった中で印象的だったのはスキッドロウの話。私の住んでいるアパートから2ブロックほど離れた場所にあるのだが、ダウンタウンの中で極めて治安の悪い地域である。ボランティアがホームレスに配給をおこなっている地域のため、近くの刑務所で刑期を終えた元囚人の方々が集まってくるのだ。これは一度落ちてしまうと普通の生活すらままならない超格差社会アメリカの制度にも大いに問題があるだろう。ここについてはまた時間がある時にゆっくりと書きたい。

・在校生によるパネルディスカッション

在校生の方々に色々と質問できる時間。

・Honor Code

ざっくり言ってしまうと校則についてのレクチャー。授業に遅刻するな、とかカンニングはだめよ、とか割と普通のお話。

・ビジネスライティング

今日は論文を書く場合の脚注の付け方について。文献によって書き方が違っていて結構ややこしい。引用は論文全体の20〜30%程度が好ましいらしい。また、最近は”Turnitin”というツールによって膨大なデータベースの中から、学生が書いた論文が他の論文を脚注をつけずに引用、つまりコピー&ペーストをしていないか、調査するのだという。パラフレーズしていても看破できるらしい。学生の中には”Turnitin”と契約して裏をかこうとする猛者もいるそうで、このあたりはやはりいたちごっこのようだ。脚注と要約に関する宿題が出た。

7月24(水)

9時集合。ケーススタディの準備とビジネスライティングの宿題のため前日ほとんど寝られず。

・ケーススタディ

ケーススタディは激しい議論の応酬についていけないのではと予想していたが、自分の立場をはっきりを決めてケースを読み込んでおけば恐るるに足らず。授業のかなりの部分が発言点が占めるので、挙手率が非常に高く、その中でどう目立って当ててもらえるかも重要な戦略になりそう。

買収する候補として2社挙げられており、したほうがいいのか、しないほうがいいのか自分のスタンスを決めて議論する。私はA社の買収には賛成で、B社の買収には反対の立場をとった。

A社は買収元にない機能を有しており、買収することによりシナジーが見込める。さらにはA社は過去6年で売上が10倍に伸びており、政治的な要素がからむものの今後も同市場は成長が見込める。B社の場合は買収元がすでに同様のビジネスを展開しているためグループ内競合となりシナジーが見込めないのではないか。さらにB社は創業者の特殊なバックグラウンドにより今まで宣伝費が圧縮できており、創業者が辞めた場合のリスクが非常に大きい。何か創業者が辞めないように契約で縛らなければ、このまま買収するは危険である。

結局手を挙げていたものの最後まで指されることはなかったが、思考を深めるプロセスは大変勉強になった。

・グループワーク

現在進行中。内容はチームで新しい国家を作り、思想や法律、国旗等を定めてくださいという割とお気楽な内容。チームメンバーは中国人、香港人、ドミニカ人、アメリカ人、インド人、日本人(私)の五人。今はメールでやり取りをしながら明日のプレゼンテーションに向け準備を進めている。「Masaはゲームクリエイターだから、国旗のデザイン担当だよね」と満場一致で決まってしまい、デザインの経験はないものの急いで意見をまとめ、FedExが閉まる前に駆け込みでプラスチック製の国旗を作成した。現在は他のメンバーが煮詰まっているところを手伝っている。英語がうまくなくても貢献できることにちょっぴり安心。

今夜も長くなりそうです。

オリエンテーションスタート

オリエンテーションスタート

USC Marshall School of Businessは授業のスタートが他の学校と比べて早い。9月から始まる学校が多い中、8月上旬にも本格的な授業がスタートする。その前に1週間のオリエンテーションと、米国外からの学生向けにさらに1週間のオリエンテーションがあり、今日はその初日。

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なぜこんな微妙な位置から撮ったのか謎だが、奥に見えるのが校舎。

今日は初日ということもあり、学校のスタッフからのプログラムの紹介と、各学生の自己紹介がメイン。米国外からの学生は40人くらいだろうか。ちょうどぴったり収まるくらいの教室でそれぞれ自己紹介していく。外人40人を前に英語で話すことなどもちろん生まれて初めてなので、ちょっぴり緊張。ゲームを作っていたと話すと珍しいようで皆喜んでくれた。

一つ分かったことは、みんな英語のレベルが高いということ。少なくとも英語圏で数年間暮らした経験がある人がほとんどだ。はい、この中で一番英語話せない自信あります。。聞き取りもままならない今の状態ではグループワークでも足を引っ張ってしまうので、意識的に英語力を高めていかないといけない。とりあえず日本から取り寄せた「MBAの英語表現400」という本を丸暗記することに。この本は”It’s possible, but unlikely(不可能ではないけど、ありそうにないよね)”とか、使える言い回しがたくさん載っているのでオススメ。

今日はこれから宿題のケーススタディ一本(飲料メーカーのケース)と、各学生の顔と名前、バックグラウンドを暗記する作業をスタートしようと思う。まだまだ序の口で来週からが本格的なスタートのようなので、睡眠時間が少なくなる日がこれから先も続きそうだ。

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最後に写真を一枚。なぜか前輪とサドルが無い自転車。こっちでは「自分の自転車の前輪がパンクしたのでイタダキマス」「サドルの革がめくれたのでここに落ちてたのもらった」というしょうもない理由で盗難されることがよくあるらしい。自転車ならまだかわいいが、車でもあるというのが恐ろしい。車載ナビは車を降りる度に外して持ち歩かなければいけないし、タイヤが盗まれることもあるそうだ。どうやって防げばいいんだ。。自転車の後輪に残っていた役立たずのロックが心なしか寂しそうでした。

USC Marshall School of Business -なぜ留学するのか-

USC Marshall School of Business -なぜ留学するのか-

渡米前になぜ留学しようとするのか、何を学びたいのか、まとめておきたい。今後ブレないために。今の気持ちを忘れないために。

アメリカの大学院に留学する理由であるが、主に以下の2つである。

1、アメリカのビジネス、エンターテインメントビジネスを学びたい

2、在学中にインターンを獲得し、いい働きをすることが現地のエンタメ企業に就職するほぼ唯一の道である

まず1について。15年程前、日本のゲームは世界を席巻していた。世界のコンシューマゲーム売上シェアの7割を日本製のゲームが占めていた。ところが今は2〜3割である。なぜそうなってしまったのか。理由は資金調達とマーケティングの違いにあると私は思っている。アメリカでは100億円規模の予算を投じたゲームがバンバン開発されているが、日本でそれをやろうと思ってもできない。プロデューサーは企画書を持って自分の会社から予算をもらうことがほぼ唯一の資金調達であり、100億予算をかけたゲームの企画が通るはずがない。失敗した場合に会社が傾くからだ。アメリカは金融機関も含めプロジェクト単位で資金調達する「ハリウッド型」と言われるファイナンススキーム・リスク分散の仕組みが根付いている。もちろん資金調達のためには資金を回収するために世界で売れるという裏付けとマーケティングプランが必要である。

ちなみに、ハリウッド映画を例にあげると、予算規模別にBig budget(1億ドル以上)、Medium budget(3,000-7,000万ドル)、Low / Micro budget(1,000万ドル以下)と分かれている。10億円の予算でもミクロなのだ。ビッグなゲームをプロデュースしたぜ!と思ってきたが世界規模のエンターテインメントでみるとミクロとは悲しい。

以前とある研修でハリウッドでプロデューサーをしているMichele Weissさんという方とお話しする機会があった。彼女にハリウッドの資金調達の仕組みについて聞いたところ、彼女のプロデュースした40億円くらいの予算の映画では、全リスクを会社側で持てるのだという。それだけマーケティングにより当たる確度が高められており、回収見込みが立っているのだ。それ以上の予算になると日本で言う「制作委員会方式」とか、「ハリウッド型」の資金調達が必要になってくるそうだ。ちなみに、Michele Weissさんの旦那さんは脚本家で、ゲームの脚本も書いているそうだ。映画とゲームの業界もいよいよ近づいてきたな、と感じる。

私が留学予定のUSCは、日本では知名度が低いもののエンターテインメント分野では全米No.1の大学であり、全米のMBAで唯一「Graduate Certificate in the Business of Entertainment」というエンターテインメントビジネスに特化したプログラムを提供している。昨年の就職先一位はゲーム会社のエレクトロニック•アーツだ。日本のエンターテインメント業界からMBAを目指す方は皆無に等しいと思うが、是非多くの人に来てもらいたいと思う。今日本はソーシャルゲームバブルに沸いているが、ハイクオリティ&高予算化が進むことにより、また最終的にはアメリカにシェアを奪われるだろう。もうアプリの開発予算は1億を超えてきている。手遅れになる前になんとかしたいものである。

 

2について。習うより慣れろ、ということでアメリカのエンターテインメントビジネスについてより深く学ぶには実践しかない、つまり現地の企業で学ぶより他になしと思っている。そして潜り込むにはなんとかコネを作ってインターンのチャンスに賭けるしかない。就労ビザなどの問題で日本人が現地で就職するのは極めて厳しいと言われているが、トライする価値はあると思っている。