パソコンと鮨に見た日本のプロフェッショナリズム

パソコンと鮨に見た日本のプロフェッショナリズム

パソコン。こちらアメリカでは単に「コンピューター」と言うことが多い。スマートフォンが普及した今でも仕事の要はやはりパソコンであり、この先恐らく数十年と変わることはないだろう。

現在愛用しているノートパソコンはNECのLZ550というモデルで、13インチのノートパソコンでは一応世界最軽量らしい。アメリカではノートパソコンはコモディティ化していて、クラスメートの半分はMacbook Air、その他の学生はASUSやSUMSUNGなど台湾や韓国メーカーの機能・見た目が似通ったノートパソコンを持っている人が多い。中には東芝やソニーのパソコンを持っている人もいるが少数派であり、お店でも残念ながらあんまり見かけることはなかったりする。

そんな感じなので、例外なくハイテク好きの学生は私のノートパソコンに興味を示す。何しろ、Macbook Airが彼らにとって一番軽いパソコンであり、NECのLZ550はその半分強くらいの重さしかないので、中に何が入っているのか不思議で仕方ないらしい。しかもNECの名前は誰も聞いたことがないので、未知の超ハイテク企業のように感じるようだ。曰く、

「日本は今でも技術的にずっと進んでいるんだね」

とのこと。技術の問題なのか、利益が出づらいから他の企業が作らないだけなのか、それは分からない。ただ、NEC含め日本企業にはこういった尖った製品を作り続けてほしいと思う。日本企業の強みは「そこまでやるの?」というクラフトマンシップにあり、それが世界の人々を感嘆させる要因であり、世界の製品との唯一の差別化ではないかと思うのである。

先日、「次郎は鮨の夢を見る」というドキュメンタリーを観た。「すきやばし次郎」というミシュラン3つ星、恐らく日本一と言われることの一番多いお寿司屋さんと、そのマスターを取り上げたドキュメンタリーである。なんと、アメリカ人が監督しアメリカで映画として公開されたドキュメンタリーだ。2年ほど前、友人のアンドリューが来日する際に、「どうしてもすきやばし次郎の席を予約してくれ!」と言われ、妻と協力して100回以上電話したものの繋がった時にはもう1か月分全部予約が埋まっており、実質常連さん以外の一般人が食べることの難しい寿司と言えるかもしれない。

でも、その理由も分かる。90歳近いすきやばし次郎のマスターは、真のプロフェッショナルなのだ。外国人からすると、「たこを柔らかくなるまで50分手でもみ続ける」とか、「手の甲にシミができると寿司を握る際に美しくないので常にプライベートでは手袋を着用する」などといったことが理解できないのである。とにかく、より美味しい寿司を提供したいという意思が半端ではないのだ。そして、食べ終えるまで20分で3万円~という価格ですら、一部の人にとっては安く感じてしまうのである。

海外型の経営に迎合せずに、こういったプロフェッショナルな仕事人が自分の力を存分に発揮できるような会社がどんどん増えていったらいいな、と思う。

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ちなみにこちらは我が自作パソコン3号機である。OSはLinuxとWindows。アメリカには残念ながら重すぎて持ってこれなかった。これは本当に趣味の範囲でしかないのだが、自分でなにかしら作って、いじって改良していくのはとっても楽しい作業である。何かを「改良」「改善」していくことは人間の根本的な欲求の一つであり、その欲求がより強い人がプロフェッショナルになれるのではないかなーと思うのであった。

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