Monthly Archives: 10月 2014

先輩の訪米

先輩の訪米

先週の土曜日は日本から遥々前職の先輩とその奥さまが訪米。グリフィス天文台→ファーマーズマーケット→エンデバー(残念ながらチケットの販売時間が過ぎており断念)→ビバリーヒルズ→ファザーズオフィス→サンタモニカとど定番のコースを案内した。楽しんでもらえたようで良かった。一年半前に退職したにもかかわらず、すでに部署にいる半数の社員は私の知らない人たち。それだけ変化の激しく成長著しい業界であるということだろう。是非是非今後も事業を拡大してアメリカにもじゃんじゃん進出していただきたいものである。

その晩は一年ぶり、懐かしのハロウィンパーティー。皆思い思いの変装に身を包み、楽しい週末を過ごしたのであった。といっても、そろそろ就職活動真っ盛り。学校でもその話題が増えてきた。来週末にボストンで留学生向けの巨大なキャリアフォーラムがおこなわれるのだが、ゲーム会社の出展が少ないこともあり、かつ同じ日にいくつかゲーム会社がUSCに訪問することもあって、未だにどちらに参加しようか悩み中。フーム、どうしたもんだろうか。

Feature Film Financing and the Studio System その9

Feature Film Financing and the Studio System その9

昨日のファイナンスの授業は色々と謎が解けた有意義な授業であった。特にSlate Financingという手法はこちらのゲーム業界でも使われているそうで、これがアメリカで莫大な予算をかけたゲームが生まれる一因になっているようなのである。

簡単に説明すると、あるタイトルについて製作予算の50%をFinancial Entityが負担し、スタジオ側のディストリビューションコスト8-12%をトップオフした後にタイトルのキャッシュフローでマーケティングコストを返済し、その後残りの利益がスタジオ側とFinancial Entity側で配分される仕組みである。

Financial Entityの中身であるが、まずEquityとしてヘッジファンドもしくはプライベートエクイティが資金を注入、足りない部分をJPモルガンやメリルリンチなどの大手金融から借金、さらに残りをMezzaning Financingというちょっぴり割高な方法で借り入れるようだ。Equityとはつまり映画の権利の一部を持つことになるので、一定の期間を経たあとにスタジオ側が買い取ることになる。日本での製作委員会方式と違って、純粋に金銭的な利益を目的とした「投資」ということになる。

収益予測にはモンテカルロ・シミュレーションを用い、できるだけ多くのゲームないしは映画に出資をすることでリスクを分散させる。ゲームも映画もギャンブルの要素が大きいので1本だけだと大赤字になってしまうことが多々あるが、そこを数でカバーしようというわけである。

ゲームは映画よりも難しく成立しづらいとのこと。でも何とかしてこの仕組みを持ってこれなければ日本のゲームの将来はないな、と思う。ファイナンスとマーケティング。この二つが大規模コンテンツのキーになってくるのは、間違いないのだ。

Feature Film Financing and the Studio System その8

Feature Film Financing and the Studio System その8

スタジオが製作した映画の広告は100億円以上のコストがかかることがザラであるが、どんなにケチっても最低6億円かかるらしい。というのも、プロモーション内容のFIXに結構な時間がかかり、その時間をトータルして6億円くらいのコストになってしまうらしいのだ。いやはや、想像もつかないとんでもない話である。Identify AudienceとHow to reachが重要とのこと。意外だったのは、Trailor(PV)を作る費用は数百万~数千万円程度とのことで案外大したことはないということ。ここはゲームのPVと大差はない。

広告の開始時期については、公開の2~3週間前からが基本。トランスフォーマーのような超大作映画のみ2か月前から開始するとのこと。ただし、6か月前からTrackingといってムービーの知名度、どのムービーがファーストチョイスになるか、どうやって映画を知ったかなどを定期的にチェックするとのこと。競争相手に負けないように広告を投入していくことになる。基本的に映画は女性主導で観に行く場合が多いそうで、Trackingの結果男性の評価が高くても安心は禁物。逆に女性の評価が高いものは男性の評価が低くても結果的に女性に連れ出されて観に行くことが多いそうだ。

続いて試写会について。試写にはいろんな目的があるが、メインは映画のチューニングをするためらしい。いい監督は試写に多く行ってダメなところをFIXするんだそうだ。リチャード・ギア主演のOffice & Gentlemanという映画では、リチャード・ギアが苦労して石を運ぶシーンを入れたところ、試写におけるレーティングがなんと62→96までアップしたそうだ。人は主人公がどん底から這い上がるところが好きだったりするものである。

こうしていろんな過程を経て公開に至るわけであるが、公開時にコケるともう挽回のチャンスはない。また、近年はソーシャルメディアで情報を共有するよう時代になったので、評価の低い映画は簡単に淘汰されてしまうとのこと。なかなかに厳しい世界である。

余談になるが、映画業界における技術と広告、2つのパラドックスについて。CG技術の発達でエキストラをCGで合成できるようになったりコスト削減につながる部分があるものの、逆にできることが増えて結局コストが上がってしまっているのが現状らしい。広告についても、インターネットの登場で特定のターゲットにリーチできる方法が増えたものの、結局広告はなにがどう影響するのか分からないので、他の広告も今まで通り実施しており結局コスト増になっているだけのようだ。なかなかうまくいかないもんである。

アメリカにおけるテレビドラマ製作の流れ

アメリカにおけるテレビドラマ製作の流れ

こちらのテレビ業界のことも授業を通じて分かってきたので一旦まとめ。FXテレビのトップから直接授業が受けられるのはUSCならではである。ちなみに、私は日本のテレビ業界のことは全然知らないのであしからず。

1.脚本家などからの企画プレゼンテーション(ピッチ)がスタジオエグゼクティブ向けにおこなわれる。

2.スタジオエグゼクティブがどの企画を通すべきか判断し、Goが出たものに関してPilot(サンプルで3~4話)の製作がおこなわれる。

3.Pilotをテストして、観客の受けが良ければ10話分(1シーズン)の製作がおこなわれる。

4.その後1シーズン目の視聴率が良ければ、追加90話分の製作が決定する。(10/90と言われる仕組み)

アメリカのテレビドラマは映画ほどではないものの、一話3~4億円もの製作費がかかるそうで、スマートフォンのかなりハイスペックなゲームが1話につき1本作れてしまう計算である。それだけのリスクをスタジオが一手に引き受けるのは大変なので、MVPD(Multiple Channel Video Distributor)と呼ばれる配信会社(AT&Tなど)が初期の段階で一部負担することになる。スタジオがメーカーとするならば、MVPDは小売業者と言えるだろう。足りない部分はDeficit Financingといって社内外からファイナンスすることになる。スタジオはDeficit Financing分をDVD販売や海外へのライセンス、その他流通チャンネルからの利益でまかなうことになる。

授業を受けていて思うのは、日本のテレビ業界は非常にいびつであるということ。一部のキー局が電波を独占している状況は、健全な競争とは言い難いだろう。ただ、その絶対的な地位もインターネット、デジタルビデオレコーダーの登場によって崩れつつある。広告収入に頼ったビジネスモデルはやがて衰退していくだろう。その時、Netflixのような新しく効率的なサービスに対してキー局がどうやって競争をしていくことになるのか、今後注視していきたい。

ユニバーサルスタジオ ホラーナイト

ユニバーサルスタジオ ホラーナイト

昨日は友人たちと夜のユニバーサルスタジオへ。ハロウィンが近いこともあり、この時期は「ホラーナイト」というイベント期間にあたる。中に入ったらいきなりチェーンソーを持ったゾンビたちがうようよ。アメリカでは現在「ウォーキングデッド」というゾンビのドラマが最も視聴率の高いドラマだそうで、アメリカはゾンビが大好きな国なのである。

以前スタジオツアーで回ったスタジオの建物がお化け屋敷に改装され、ユニバーサルスタジオ全体が怪しい雰囲気に包まれる。さすが映画会社ならではのセットの作りこみである。ゾンビやエイリアンたちに散々おどかされて大分寿命が縮んだような気がするが、なかなか楽しい夜であった。

中間試験が終了

中間試験が終了

昨日で試験も一段落し、友人とコリアンBBQで祝杯。授業は今期からエンターテインメント業界のものを中心に受講しているため、勉強もなかなかはかどる。

特に、コンテンツ制作の仕組みは日本と全く違っていて興味深い。アメリカではCCAなどの巨大なエージェントが存在し、プロデューサー、ディレクター、脚本家、俳優などの企業相手の交渉を一手に担っている。日本ではもちろん俳優や女優は事務所に所属し、事務所が交渉をおこなうのだと思うが、プロデューサーなどがそういったところに所属しているという話は聞かない。市場が巨大になればなるほど、分業が進んで効率化していくといったところだろうか。ふむ。

ブリザード・エンターテインメント社長宅に遊びに行くの巻

ブリザード・エンターテインメント社長宅に遊びに行くの巻

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昨日はブリザード・エンターテインメントに勤める友人ランディの誕生日会がブリザード・エンターテインメント社長宅で催されるとのことで招待され、遊びに行くことに。予想はしていたものの想像を超える大邸宅にびっくり!ニューポートというビーチのそばにあるのだが、中世のお城のような家であった。

集まったのは私を除いて皆ブリザードの社員。10人ほどのこじんまりしたパーティだったが、皆いい人ばかりでブリザードの社風の良さを感じる。社長はビートルズが大好きだそうでビートルズ関連の楽譜や本がたくさん。これは仲良くなれそうである。

当初アニメ好きランディの持ってきたアニメコレクションの中から上映がおこなわれる予定であったが、その場に「るろうに剣心」好きが2名いたことからなぜか「るろうに剣心」の実写版映画をみんなで鑑賞することに。特に社長の奥さまが気に入ったようで、次回作はいつ観れるのか確認していてちょっと面白かった。次はラピュタの上映会ということで、タイミングが合って行けたら嬉しいな、と思う。日本のコンテンツが浸透していることが素直に嬉しい。

ブリザード・エンターテインメントは多くの人が世界一に挙げるゲーム会社だ。日本だったらあり得ないシチュエーションだし、完全に緊張して粗相がないようにビクビクしながら下手に言葉も発することのできないような状況であるが、ここはアメリカ。どんなにハイソサエティーの人とでも気さくに話せる文化であるのは嬉しいことである。もっともっとネットワーキングに励んでいろんな人と仲良くなれたらなー、と思う。

The Beatles “Love”

The Beatles “Love”

先日運よくベラージオというホテルから無料宿泊の案内をいただいた関係で、急きょ先週末は友人J氏、J氏の奥さまとともにラスベガスに行くことに。ラスベガスはロサンゼルスから車で5時間ほどのところにあり、こちらの人は週末よく家族や友人らとラスベガスに遊びに出かけることが多い。東京の人からすると伊豆や軽井沢にでかける感覚かもしれない。ラスベガスというとギャンブルのイメージがあるが実は現在ギャンブルの売上は全体の3割程度に過ぎず、総合エンターテインメントシティという感じである。

なんといっても今回の目玉はずーっと観たかったビートルズを題材にしたLoveというショー。無料のゲームを遊んで貯めたポイントを使って無料で鑑賞、しかも運よく最前列でド迫力のステージを間近に観ることができた。

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ついにこの日がやってきた!ヤァヤァヤァ

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入口のビートルズショップに展示されているポールが使用していたヘフナーのベース。4人のサイン入りで、もう値段は付けられないだろう。

ショーの内容はというと、THE BEST SHOW EVER!!であった。本当に最高!全ての音源はビートルズの原曲をベースに再構成されており、音のミックスを担当された方の底知れないセンスを感じる。私が産まれた頃にはもうビートルズが解散して10年以上経っていたから、実際のコンサートを観に行ったわけではないし、古いVHSで観たくらいである。しかし、本当にリアルタイムでファブフォーのショーを観ているような、そんな感覚。

音楽だけではなく、勿論シルクドゥソレイユらしく随所に迫力満点の動きやクスッとできるエンターテインメントがてんこ盛り。ビートルズ好きは勿論、そうでない人も間違いなく楽しめるショーだと思う。超オススメです。

パソコンと鮨に見た日本のプロフェッショナリズム

パソコンと鮨に見た日本のプロフェッショナリズム

パソコン。こちらアメリカでは単に「コンピューター」と言うことが多い。スマートフォンが普及した今でも仕事の要はやはりパソコンであり、この先恐らく数十年と変わることはないだろう。

現在愛用しているノートパソコンはNECのLZ550というモデルで、13インチのノートパソコンでは一応世界最軽量らしい。アメリカではノートパソコンはコモディティ化していて、クラスメートの半分はMacbook Air、その他の学生はASUSやSUMSUNGなど台湾や韓国メーカーの機能・見た目が似通ったノートパソコンを持っている人が多い。中には東芝やソニーのパソコンを持っている人もいるが少数派であり、お店でも残念ながらあんまり見かけることはなかったりする。

そんな感じなので、例外なくハイテク好きの学生は私のノートパソコンに興味を示す。何しろ、Macbook Airが彼らにとって一番軽いパソコンであり、NECのLZ550はその半分強くらいの重さしかないので、中に何が入っているのか不思議で仕方ないらしい。しかもNECの名前は誰も聞いたことがないので、未知の超ハイテク企業のように感じるようだ。曰く、

「日本は今でも技術的にずっと進んでいるんだね」

とのこと。技術の問題なのか、利益が出づらいから他の企業が作らないだけなのか、それは分からない。ただ、NEC含め日本企業にはこういった尖った製品を作り続けてほしいと思う。日本企業の強みは「そこまでやるの?」というクラフトマンシップにあり、それが世界の人々を感嘆させる要因であり、世界の製品との唯一の差別化ではないかと思うのである。

先日、「次郎は鮨の夢を見る」というドキュメンタリーを観た。「すきやばし次郎」というミシュラン3つ星、恐らく日本一と言われることの一番多いお寿司屋さんと、そのマスターを取り上げたドキュメンタリーである。なんと、アメリカ人が監督しアメリカで映画として公開されたドキュメンタリーだ。2年ほど前、友人のアンドリューが来日する際に、「どうしてもすきやばし次郎の席を予約してくれ!」と言われ、妻と協力して100回以上電話したものの繋がった時にはもう1か月分全部予約が埋まっており、実質常連さん以外の一般人が食べることの難しい寿司と言えるかもしれない。

でも、その理由も分かる。90歳近いすきやばし次郎のマスターは、真のプロフェッショナルなのだ。外国人からすると、「たこを柔らかくなるまで50分手でもみ続ける」とか、「手の甲にシミができると寿司を握る際に美しくないので常にプライベートでは手袋を着用する」などといったことが理解できないのである。とにかく、より美味しい寿司を提供したいという意思が半端ではないのだ。そして、食べ終えるまで20分で3万円~という価格ですら、一部の人にとっては安く感じてしまうのである。

海外型の経営に迎合せずに、こういったプロフェッショナルな仕事人が自分の力を存分に発揮できるような会社がどんどん増えていったらいいな、と思う。

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ちなみにこちらは我が自作パソコン3号機である。OSはLinuxとWindows。アメリカには残念ながら重すぎて持ってこれなかった。これは本当に趣味の範囲でしかないのだが、自分でなにかしら作って、いじって改良していくのはとっても楽しい作業である。何かを「改良」「改善」していくことは人間の根本的な欲求の一つであり、その欲求がより強い人がプロフェッショナルになれるのではないかなーと思うのであった。

一年生

一年生

今年の日本人一年生は4人と、去年より1人増、一昨年より3人増といい感じに増えてきている。去年の私たちがそうであったようにかなり授業がしんどいようで、ゾンビのような顔をして歩いているのを見るとなんだか気の毒になる。

ブリザードの友人で卒業生のアンドリューが昔こんなことを言っていたのを思いだす。

「1学期目はスーパーハードだけど、1番楽しかったのも1学期目かな。」

1学期目は全てが新しい経験で、授業についていくことすら大変。毎日のように課題の締め切りがあって、かつパーティも全参加していたので寝る間もないくらいハードだった。でも、本当に刺激的で楽しい毎日だったなーと改めて思う。

今は授業は選択制になり、友人とは別々に授業を受けるようになった。授業はより学びたい内容が学べるようになって、授業が楽しくなってきた。ただ、もっとできるはず。1学期目のあの追い込みかたを考えれば、もっとできるはずだと思う。10以上のクラブに参加しているが、MBAのクラブ活動は案外ゆるかったりする。もっと自分で色々とできることを探して、将来の糧にしていきたいなーと改めて思うのであった。

昨日は以前の取引先の方がいらっしゃったので食事。無事私が紹介したアメリカのゲーム会社2社と取引きが始まったとのこと。良かった良かった。よし、今期はもっとネットワーキングに精を出すことにしよう。