Category Archives: ゲーム

プレゼンテーションその1

プレゼンテーションその1

本日は各クラス最終プレゼンの記念すべき1回目。明日、明後日とまた別のクラスのプレゼンテーションがある。今回はシネマクラスにおけるプレゼンテーションのため、MBA以外の大学院生も多く含まれているのだが、そこで気づいたのは、アメリカ人が全員プレゼンテーション上手ではないということ。MBA以外の学生は皆かなり緊張しているように見える。声や手が震えている人も。もしかしたらこの2年間で大分プレゼンテーション自体に慣れたこともあるかもしれないが、恐らくMBA以外の学生は多くが学卒→大学院と直接進むため、会社でプレゼンテーションの経験がないことも影響しているかもしれない。

肝心の最終プレゼンテーションの内容は、映画スタジオが今後進むべき新しいビジネスの提案。私のチームはTheTakeというウェブサイトを取り上げてリテールビジネスへの投資を進言。

https://thetake.com/

このサイト、なかなか良くできている。映画のトレーラーを検索して好きに観ることができるのだが、それだけでなく俳優が着ている服などをクリックするとそのままアパレルのウェブサイトに飛んで買うことができるのだ。「プロダクトプレースメント」という広告宣伝手法に近い。現在はマネタイズ自体していない=1円も生み出していないようだが、将来的に様々な展開が考えられる。

このウェブサイトにどんな技術が詰め込まれているのかと思うが、実は人力で俳優が着ている服に似た服を見つけ出してタグ付けしているらしい。これだけデジタル化が進んだと言っても、案外なかなか機械に取って代わられづらい部分も残っていたりするものだ。

スマートフォンゲームに必要な4つの原則

スマートフォンゲームに必要な4つの原則

昨日はHuluでゲーム業界のアントレプレナーであるAndy Kleinman氏の講義。これまで多くのスタートアップを立ち上げ、4つエグジットに成功し、1つをIPOさせた実力者。現在はインディーズ映画のプロデューサーも務めている。

講義自体は凡庸で、ゲーム業界で働いていた人なら正直もう知っていることばかりであった。どこからか引っ張ったのだと思うが、いくつか面白い数字があったので挙げておこうと思う。

市場規模

Film 90B
Games 100B

多分これはアメリカ市場の金額だろう。

XBOX 80M
PS3 80M
Wii 100M

かつて市場を独占していた3つのゲーム機の普及台数。

2 billion smartphones

いかにスマートフォンの台数が桁違いで可能性を秘めているかが分かる。

150 times a day

一日に人が携帯をチェックする回数。150回‼こうやって数字で見るともはや人類はスマートフォンに支配されているような気さえしてくる。

1.5M apps
80% games

スマートフォン向けのアプリ150万のうち、80%がゲームであるということ。マネタイズが最もやりやすい分野なので妥当なところだろう。

small teams
focus on live operations
experts in user acquisition

スマートフォンゲームは従来のゲームと比較し「少人数のチーム」「ライブオペレーション(サービスイン後の運営)」「インストール数獲得のためのエキスパート」がキーになっているとのこと。

#1 Retention
#2 Engagement
#3 Viral Growth
#4 Monetization

ゲームが流行るために必要な4つの原則。1はいわゆる翌日もお客様が来てくれるか、という継続率である。3は口コミでどれだけ人を集客できる力を持っているか。4は最終的に集めたお客様がお金を払ってくれるかということ。#2 Engagementが良く分からなかったので質問してみると、どの場所で人が離脱しているか確認してゲームを修正していったりすることだ、とのこと。

この回答にはちょっぴりがっかり。これは当然のことで、もうPCオンラインゲーム業界は10年以上前からやっていることである。結局そのころからゲームのおける顧客データ分析関連は全く発展していないということになる。そこに頼り切っているのであれば、他との差別化には全くならないし、今後新しいものなんて生み出せないだろう。

$24B
By 2016

2016年までにスマートフォンゲーム市場は世界で約3兆円弱もの市場になるそうだ。2年で倍以上に膨らんでいるとのこと。

講義内容を聞いて、やはり日本のスマートフォンゲーム業界はいびつであれ多くの部分でアメリカより進んでいる部分があると感じた。ゲームを知らない人に向けた講義であることを差し引いても、言っていることがやや古いのである。もっと国境を越えてお互いに混じり合うことさえできれば、きっと日本企業のチャンスも飛躍的に高まるだろう。

クラウドゲーミング

クラウドゲーミング

シネマスクールの授業の中で、毎週Huluでおこなわれる授業があるのだが、その最後のプレゼンテーションとして「クラウドゲーミング」に関する発表をおこなうことになった。

クラウドゲーミングは、通常クライアント側(ゲーム機やスマートフォンやPC)でおこなう処理の計算をサーバー側でおこない、クライアント側に映像だけを送る技術である。理論的にはどんな高スペックのゲームでもネット環境さえあれば端末を問わず遊べるようになる夢の技術だ。現状コストやレイテンシ(映像遅延)、インターフェースなどの問題点が山積みではあるものの、そう遠くない将来ゲームの主流となるのは間違いない。

あと10年もすれば、映像のクオリティで差別化をすることがほぼ不可能になり、その後もコンピューターの処理速度が向上していくことで、サーバー1台で数百、数千もの高クオリティゲームを処理し、配信することができるようになるはずだ。その頃にはインターネットの速度も向上し、おおよそシビアな対戦ゲーム以外は全くタイムラグを感じることなくスムーズにゲームがプレイできるようになる。インストールする必要もない。

しかし、問題はビジネスとして始めるタイミングである。今始めても、少なくとも数年間は赤字を垂れ流すことになるだろう。かつてYouTubeがスタートした時、まともなビジネスにならず大赤字であった。それを乗り越えるだけの覚悟があるかどうか。

現状、主なプレイヤーはソニー、マイクロソフト、スクウェア・エニックスなどである。ソニーはすでにこの分野に数百億円規模の多額の投資をしているが、現状のビジネスとの兼ね合いもありどこまで積極的になれるかは疑問が残る。最終的にはぽっと出てきたベンチャーが市場をさらっていくのではないかという気がする。最終的にはコンテンツ次第であるが、最近のスマートフォンゲームとは違うベクトルの未来であり、なかなか興味深く見守っているのであった。

Expectation

Expectation

某公益法人向けに書いていたレポートが終わったのでほっと一息。今日はこれからUSCにまたスティーブ・バルマー氏がやってくるので話しを聞きにに行く予定。バルマー氏はお子さんがUSCに通っていることもあってかどうやらUSCが好きらしい。先日行ったGame Developer’s Conferenceの話によれば、マイクロソフトは将来的にWindows、Xbox、Windows Phone、最近話題のHoloLensなどをAPIで統合していく計画のようで、そのあたりのゲームの面白い話が聞ければいいのだが、さすがにもうバルマー氏は退社しているので知らないだろうか。

こちらに留学してきて本当に様々なことを学んだが、一つ学びとして大きかったのが、全てのサービスの価値は「Expectation」に基づいているということである。シネマスクールの講義を聞いていて良く語られたのが、「Meet expectation」「Exceed expectation」という言葉である。

人は常日頃から自分の常識の中で生活している。何かサービスを受ける時、あるいは映画を観に行く時、気づかない間に自分の中で内容を予想し、期待値をセットしている。それを実際のサービスが上回ると「良かった」となり、下回ると「酷かった」となるわけである。例えば、ファイナルファンタジー13-2のAmazonの評価はたったの2.5/5である。これが新作のゲームだったなら、どうだろうか。「凄いグラフィックのゲームだ」とおそらく高い点数が付くだろう。ただ、ファイナルファンタジーシリーズとしてはややがっかり感があったのだろう。「想像していたのと違う。」これが低評価に繋がるのである。結果を出せば出すほど次回の「Expectation」は上がっていく。EYのコンサルティング部門が提唱している指標でBrand Integrity(BI) = Experience / Expectationというものがある。期待値を上回り続けることで、真のブランドであると認知されるわけだ。実に分かりやすい。

ここでExperience / Expectationがある一定値を超えた場合には、「驚き」や「感動」といった効果をもたらす。人は感動すると、誰かに話したくなる生き物である。それは口コミで広がり、素晴らしいサービスやコンテンツとして認知されることになる。例えばZapposというオンライン靴販売の会社は超手厚い電話でのカスタマーサポートが「驚き」や「感動」をもたらし、かけた費用以上に宣伝効果を獲得できている。

これは仕事をする中でも言えることだ。常に会社やチームからの要求の期待値を超える仕事をすることで、自分への信頼は高まる。その繰り返しだろう。たまに「驚き」「感動」レベルの仕事を織り交ぜることで、さらに信頼を高めることができるかもしれない。

スクウェア・エニックスのIkumori氏が来校

スクウェア・エニックスのIkumori氏が来校

中間試験も終わり、卒業前最後の春休み。今のところは特に遠出をすることもなく、政府関連の法人から依頼のあったレポートをせっせと書いているところ。文章を書くのは元々あまり得意なほうではないのだが、学校で書く他のレポートと違って参考文献を大量に並べる必要もなく、自分で思ったことが書けて面白い。内容はMarshall School of BusinessとそのGraduate Certificate in the Business of Entertainmentについて。この2年間を振り返る意味でもいい機会になった。

昨日は某スタートアップから中期経営計画策定の手伝いをしてもらえないかという依頼を受け、今週はその資料作成もすることになったので、遠出しなくてもそこそこ忙しくなりそうである。

ところで先週の木曜日、USCにスクウェア・エニックスのIkumori氏が来校し、CG製作のレクチャーをおこなってくださった。Ikumori氏は過去20年に渡りファイナルファンタジーをはじめとして数多くのゲームにCG製作の責任者として携わっているお方。彼のずらりと並んだ作品ポートフォリオが画面に表示された時、司会の教授が”This is the most impressive portfolio I have ever seen.”と言い、会場がどっと沸いたのが印象的だった。日本のゲームの影響力が世界で弱まったとはいえ、ゲームファンは皆日本産ゲームで育った人ばかりなのだ。日本人として誇らしい瞬間であった。

通訳を介してのレクチャーは大変内容の濃く練りに練られたものであり、特にCG課の学生にとっては大変ためになる、スクウェア・エニックスに入社したいと思わせる素晴らしいレクチャーだっただろう。このような試みは日本のゲームのプレゼンス向上にも役立つはずであるし、是非続けていって欲しいものである。

EDLP VS. Hi-Low

EDLP VS. Hi-Low

形のないものに値段を付けるのは難しい。基本プレイ無料アイテム課金のゲーム(いわゆるフリートゥープレイのゲーム)ではアイテムがデータのため原価が基本的にゼロである。そのため、なんとなくどこかの誰かが決めたガチャ1回300円、時間短縮系アイテム100円というのが基準になっている。ちなみにファミスタオンラインの頃はガチャ1回100円であった。

ところが、300円というのは非常に流動的であり、1日一回100円であったり、11回連続ガチャ3000円、あるいはイベント中はレアキャラが出やすいといったことで実質価格(1回の価値)を激しく変更する運営がおこなわれている。これは、小売の業界で言えばHi-Low Pricingというプライシング戦略の一環である。一方、そういったキャンペーンによる値引きを一切しないのが、EDLP(Every Day Low <Same> Price)戦略である。そこで、ゲームの世界でのマネタイズをこれに当てはめて考えてみたい。

・Hi-Low

パズドラ、モンストなど日本製オンラインゲームほとんど全部。

・EDLP

クラッシュオブクラン、Hearthstoneなどの海外製ゲーム。

ゲームを長く運営している人なら分かるかと思うが、Hi-Low戦略によるメリットはたった一つ、「運営が頑張っている感」であると思う。お客様、もしくは上司などに対してうちはこんなに頑張って運営してますよーというアピールなのだ。もしEDLP戦略を取っているゲームにHi-Low戦略を取り入れたら、短期的には売上は急激に上昇するだろう。初めての値引きなのだから当然である。売上をある程度コントロールして結果を出した風に見せることも可能だ。ただし、長期的に運営しているとだんだん苦しくなってくる。お客様が「値引きorレア率アップイベント待ち」の状態になり大幅値引きイベントを連発したりして運営が迷走を始める。そして「運営頑張っている感」のアピールを継続するために他ゲームとの無意味なコラボイベントなどを始めることになり、お客様が徐々に去ってやがて運営終了を迎えるのだ。

それに対し、EDLPのメリットは明確。無駄なイベントに対する出費を抑え、ゲーム内容への投資に利益を回せるようになる。かつてフィーチャーフォンのゲームが流行っていた頃には月の限度額を毎月1日に使い切るユーザーが多かったため1日に合わせてイベントをおこなうのは致し方ないことであったが、現在はそんなこともない。ゲーム運営における無駄なオペレーションが減れば、日本製ゲームの競争力も上がる。どこかが勇気を持って一歩を踏み出してほしいものだ。

Game Developer’s Conference in サンフランシスコ

Game Developer’s Conference in サンフランシスコ

一昨日、昨日と1泊2日の弾丸ツアーでサンフランシスコのGame Developer’s Conference(GDC)へ。東京ゲームショウなどと違ってほぼ業界人向けのイベントのため、一般の方が行って楽しめる要素はあまりなかったりする。初日はUSCのシネマスクールによる懇親会に参加。200人以上参加していて凄い盛り上がりである。日本はゲームの専門学校こそあれ、大学がまともに取り組んでいるというのは聞いたことがない。運よくThatgamecompanyの創業者の方とちょっとだけ話せた。

2日目は、MBA出身で某ゲーム会社へ行った珍しい経歴のN氏と一年ぶりくらいに再会。なかなか世界を股にかけて面白い仕事をされているようだ。またロサンゼルスで飲めるといいのだが。

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こちらアタリのブースで展示されていた伝説的クソゲー(低クオリティゲーム)E.T.。膨大なライセンス料を支払ったにも関わらず、開発開始からクリスマスに間に合わせるため発売までたったの6週間、製作チーム1人という絶望的な状況でプロジェクトがスタート。案の定莫大な赤字を出してアタリ社倒産のきっかけとなり、数百万本が廃棄処分となって埋立地に埋葬された。その後2013年に、都市伝説と化した廃棄の話の真偽を確かめるため大々的な発掘作業がおこなわれた結果、無事ソフトが発掘されたことから噂は真実だったことが明らかになり、発掘されたパッケージはスミソニアン博物館に所蔵されたという。なんというか、なんとも間の抜けた話である。

この他にもいくつか興味深い展示があったが、スマートフォンゲームの流行もあってか日本人が多く見受けられたのが印象的だった。特にアプリに対する広告系、データ分析系のサービス紹介が多かった気がする。バブルのような一過性のもので終わらず引き続き日本のプレゼンスを世界に示していってほしいものである。

E2

E2

昨日は所属するBusiness of Entertainment AssociationのイベントE2(Evolution of Entertainment Conference)に参加。さすがに今までUSCでエンターテインメント業界の様々な方々から講義を受けてきたこともあり、スピーカーのうち数人は実は以前話を聞いたことのある方で、内容的にはあまり目新しさのあるイベントではなかったかもしれない。

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一点、面白かったのはOphir Lupu氏の話。この方UTAというタレントエージェンシーに所属しており、ゲーム業界のタレントと契約し、映画業界における俳優や監督と同じようにゲーム業界のタレントをプロジェクトに派遣、契約金の数%の手数料を取るエージェントなのである。最大のタレントエージェンシーCAAにも同様のチームがあるそうで、ゲーム業界でそのような動きがあることは全く知らなかったため非常に興味深かった。クライアントにはBio ShockのKen Levine氏やICOの上田文人氏といったゲーム業界のそうそうたる顔ぶれが揃う。

ゲーム業界では特定の人物がネームバリューを得ることは映画業界と比較するとあまり多いことではない。しかし、ゲームのクオリティがプロジェクトにおける特定の人物にかなり依存することも事実である。これからはどんどんディレクターなりプロデューサーなりが顔を出していって、タレントエージェンシーに所属し、やがて高額の報酬を得るようになるのかもしれない。これによって人材が硬直しがちなゲーム業界がより流動的になり、活性化するようになればいいのだが。

ラスベガスをぶっつぶせ ‐確率で科学するギャンブル‐

ラスベガスをぶっつぶせ ‐確率で科学するギャンブル‐

「ラスベガスをぶっつぶせ」という映画をご存じだろうか。アメリカで以前ヒットした映画で、マサチューセッツ工科大の学生を中心に構成されたチームがブラックジャックの高度なスキルである「カウンティング」という技術を駆使してラスベガスを荒らしまわるという物語である。アカデミー賞を獲得した「レインマン」も同じ「カウンティング」の話である。

私は取っていないものの、MBAの統計関連の授業でこの「カウンティング」を題材に、どのくらいカジノで利益を出すことができるか計算しようという面白い課題があったらしい。ところが調べたところ、複数のデッキを使用し頻繁にシャッフルする現在のカジノでこの「カウンティング」は実質ほぼ不可能となっており、ブラックジャックで「ラスベガスをぶっつぶせ」を再現するのは残念ながら不可能である。

そこで、現代版「ラスベガスをぶっつぶせ」を再現できないか調査してみた。ちなみ私はギャンブル狂でもなんでもないのであしからず。あくまで授業の応用です。

候補になり得たのは「ビデオポーカー」というマシン。それ以外のラスベガスにあるゲームはハウス側の利益が大きすぎて話にならず断念。

http://www.vpfree2.com/casinos/by-region/las-vegas.html

こちらのサイトに各種ビデオポーカーのペイアウト率と設置店の記載がある。ペイアウト率100%以上ということは、即ちパーフェクトにプレイしながら長期的に確率が収束していけば、必ずプラスになるということである。

しかし、高ペイアウト率のマシンはとことん低予算マシンとなっており、最高のペイアウト率101.6%の5セントマシンをひーひー言いながら一日5,000回プレイしたとして、5セント×5(5枚掛け)×500×1.6%でなんとビックリ!平均一日20ドルの儲けにしかならない。これでは仕事上がりの一杯もままならない。

そこで趣向を変え、プレイすることでもらえるポイントを考慮してそれでトータル100%を超えないだろうかと考えることに。そこで目を付けたのはラスベガス最大のエンターテインメントグループMGM。ここはスロットクラブへの加入でコンプボーナス(食事など)が消費額の0.1%分、プレイポイントボーナス0.1%分、HGSというポイントが0.033%分(概算)で付く。さらに、最高のメンバーシップNoirとなれば、それぞれのボーナスが×1.4倍になる太っ腹ぶりである。

MGMグループが設置する最もペイアウトの良い台はJB9/6という機種で99.54%のペイアウト率。そこでNoirメンバーだったとしてトータルどの程度のペイアウトになるのか計算してみることに。

99.54%+(0.1%+0.1%+0.033%)×1.4=99.862%

やっぱりダメでした。確率が長期的に収束すれば確実に損します。さすがにうまくできている。

今度はまた目標を変え、多少損が出ることは目をつむってゼロの状態からMGM最高のステータスNoirを目指してみるのはどうだろうかと考えてみる。NoirになればMGM系列のホテルでショッピングが30%割引になるほか、ほぼ全ての行列をカットでき、さらにはホテルのスイートに無料で泊まれたり、空港からの送迎があったり、ラウンジが使用できたりとVIPサービスが盛りだくさんなのである。そこで得意のモンテカルロシミュレーションを駆使してNoirステータス獲得のためのシミュレーションをしてみることにした。計算は損が最少、かかる時間が短く、そしてボラティリティができるだけ小さくなるようにJB9/6の1ドルかけ10ラインをベースにした。100ドルかけの機種ならすぐに達成できるが、ボラティリティが高くなりすぎてしまい、よほどのハイローラーでなければ大損の危険があって難しい。ある程度回数をこなして確率を収束させる必要があるのである。

【前提条件】

1.    Noir達成のために必要なTierクレジットを推定100万とする。(Noirはインビテーションオンリーだが、ネットの情報を総合するとそのあたりが妥当)ただし、途中ステータスが上がっていくなかでTierクレジットの獲得にボーナスが付くため、それを考慮し実質79万Tierクレジットの獲得でNoirが獲得できることとする。

2.    10ドルの消費で1Tierクレジットを獲得する。

3.    ビデオポーカーのボラティリティ(標準偏差)は

http://wizardofodds.com/games/video-poker/appendix/3/

を参考にして計算する。

4.    現金と同等の価値を持つ各種ポイントはシンプルに収入として計算する。各Tierボーナスも考慮する。

5.    モンテカルロシミュレーションにはExcel用アドオンの「@risk」を使用する。

6.    一度のミスもないと仮定する(Winpokerというアプリがあれば100%パーフェクトにプレイすることが可能)。

7.    1時間のプレイで500ハンドプレイできるものとする。

上記条件を基にモンテカルロシミュレーションを1,000回回して得られたのが以下の結果である。

平均収入: $-1311.52 (理論値$-1309.59)

儲かる確率: 45.7%

$5,000以上儲かる確率: 30.1%

$10,000以上儲かる確率: 17.5%

$5,000以上損する確率: 38.1%

$10,000以上損する確率: 23.7%

取得にかかる時間=トータル158,000ハンド÷1時間500ハンド=316時間

一番損とボラティリティが少なくなる方法を持ってしても$10,000以上損する確率が23.7%もある。そして316時間ミスなくプレイしなければならない。寝ずに頑張ったとしても13日と6時間かかる。2週間の旅行ではほぼ不可能だ。$100かけマシン×10ラインであればたったの3時間余りで達成できるが、標準偏差が$121,238.7という恐ろしい数字になり、$100,000以上(1千万円以上!)の損が出る可能性が20.8%もある。

平均の$-1311.52で最高のホテルの最高のステータスが獲得できると考えれば、よくラスベガスに行くかたであれば十分元が取れるほどのサービスが受けられることで間違いない。ただし、予算が$10,000程度ではあっさり溶けてグッバイベガスとなる可能性がかなり高い。また、一人で頑張ることを仮定すると最低1か月程度は滞在しないといけない上に、ポイントは1年に1回リセットがかかる。

いかにNoir獲得が難しいか理解いただけただろうか。多分途中で多くの人が面倒になって読むのをやめていると思う。しかし、どうしても世界最大のカジノグループで上位0.1%と言われるハイローラーNoirの称号を獲得し、額縁に飾りたいという人もいるだろう。そんな人のためへの攻略を考えてみた。

1.    ローローラー(一般人)向け: 一般人にはどうやっても無理です。ありがとうございました。

2.    ミドルローラー(そこそこ富裕層)向け: 予算は最低$30,000用意すること。友人や奥様と2人で行って同じアカウントのカードを2枚発行してもらい、ポイントを合算する。2週間の旅行で最低1日12時間プレイする。ご飯は全部コンプで1日1食。その他娯楽は一切禁止。ストイックに自分と戦い続けること。

3.    ハイローラー(超金持ち)向け: 予算は最低$300,000用意し、一般フロアに目もくれずハイリミットルームに直行すること。3時間まったりマティーニを楽しみながらエンジョイすること。

ギャンブルも確率論で考えてみるとなかなか奥が深いものである。では、そろそろ宿題やることにします。。時間使いすぎた。

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計算の残骸。

Oculus初体験

Oculus初体験

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今週のシネマスクールの授業は、FOXのスタジオでメディアの将来についての集中講義。実際に学生が写真のOculusを体験して未来を実感した。簡単に説明すると眼鏡になっている部分から映像が見え、センサーによって頭を動かすことで映像が合わせて動く。デモでは森の中で自由に周囲を見渡すことができた。

没入感が高く、デモは非常によくできているのだが、正直この手のものは昔からある。任天堂のバーチャルボーイに始まり、最近ではソニーのHMDなど。5年くらい前には、頭を動かすと映像も動くタイプのゲームと連動したOculusにそっくりの商品を秋葉原で見たことがある。要は特別な技術なんて大して無いのである。それがプロトタイプから2年やそこらでFacebookに20億ドルで買収されたのだからすごい。

では何が特別だったのか。肝心要はマーケティングだったと私は思う。Kick Starterでクラウドファンディングというニュース性の高い資金調達に始まり、おばあちゃんや子供が付けて驚く様子の動画が共有されることで「一度試してみたい!」と思わせるワクワク感、そして350ドルという手が届きそうな割安感。これらが一気に広まった理由だろう。ちなみにOculusは元々USCの研究所のプロジェクトが元になっている。そして、タイミング。これらマーケティングのピースが揃うためには、10年前よりも今がベターだったのは間違いないだろう。

ゲーム界の巨人、横井軍平氏の言葉で「枯れた技術の水平思考」という言葉がある。要は、すでにある技術を繋げて新しいものが作れないか、ということ。任天堂のWiiなどはその典型例であろう。そして、ヘッドマウントディスプレイがブレイクスルーするきっかけとなったこのOculus。その横井軍平氏が手掛けたヘッドマウントディスプレイの先駆け、バーチャルボーイが今から20年も前に世に出ていたとは、何とも皮肉な話である。