日本的経営について考えてみる Organizational behaviorその1

日本的経営について考えてみる Organizational behaviorその1

明日Organizational behavior(組織行動学)の期末試験があるのだが、これがもうどこから手を付けていいのか分からないくらい範囲が広く内容がふわふわしているのでほとほと困り果てている。理解を深める意味で日本的経営についてメリット、デメリットをOrganizational behaviorの視点からちょっと考えてみたい。勉強メモに近いのでつまらない内容です、はい。

日本は先進国の中で非常に特殊な雇用環境であり、近年不況に苦しむ企業が増える中で日本的な雇用制度のデメリットについてクローズアップされる機会が増えているが、日本的経営の3種の神器と言われる「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」が日本の高度経済成長を支えたのも事実だと思う。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/11/dl/03-2.pdf

の図によると、終身雇用制度の崩壊が叫ばれながらも日本の失業率は他の国と比較して景気に左右されず非常に安定しており、雇用が現在に至るまで比較的守られていることが分かる。

<ネットワークの観点からの日本的経営の長所、短所>

人と人とのネットワークには3種類タイプがあるらしい。

“Clique Network”…内的なネットワーク、会社で言えば社内のネットワーク
“Entrepreneurial Network”…外的なネットワーク、会社で言えば社内の個々人と会社外とのネットワーク
“Rainmaker Network”…どちらも合わせ持ったネットワーク

手厚い福利厚生や、昔のアフター5に代表されるような日本的な社員同士の交流は、授業でならったSASという会社のケースによると離職率を下げる効果があり、”Clique Network”の観点からはチームのコントロールと協調性の最大化に秀でており、技術と知識を社内に蓄積していくという観点からも効果的であると言える。元々日本の終身雇用は20世紀の初めに熟練工の離職率が極めて高かったために導入された制度だそうな。

ただし、”Entrepreneurial Network”の観点からは内部の雇用を守ることによって外部との情報、人材の流動性が薄れ、今後の市場の変化に対応できなくなる可能性を秘めている。日本の多くの企業が競争力を失っていった背景には”Entrepreneurial Network”の欠落により外部の変化に対応しきれなかった側面があるだろう。

<モチベーションの観点からの日本的経営の長所、短所>

社員のモチベーションには2つの種類がある。
“Extrinsic Motivation”…お金、賞、ステータスなどの外的報酬
“Intrinsic Motivation”…仕事の重要性、自己裁量の有無、フィードバックなどによる内的なもの

一般的にいわゆる「外資系」の会社は高報酬を売りにしているのに対し、日系企業は比較的”Intrinsic Motivation”に重点を置いているように感じる。以前勤めていた会社に「仕事の報酬は仕事!!」というワーカホリック的な標語があったが、これはまさに”Intrinsic Motivation”に重きを置いていると言えるだろう。

“Intrinsic Motivation”は”Extrinsic Motivation”と比較して経営の観点からは低コストになることが多く、よりサステイナブルだそうだ。ただし、”Extrinsic Motivation”よりも複雑で実行すること自体が難しいとのこと。

http://www.businessweek.com/managing/content/sep2009/ca2009094_141933.htm

の中で、ピータードラッカーの言葉が紹介されている。”I very much hope, that Japan will find a solution that preserves the social stability, the community―and the social harmony―that lifetime employment provided, and yet creates the mobility that knowledge work and knowledge workers must have.”

簡単に要約すると日本が今後、さまざまな利点のある長期雇用を守っていくための解を見つけてくれることをとっても願っていますよーとのこと。

近年急成長を遂げた会社スタートトゥデイは、ピータードラッカーの言った解を見つけたかもしれない。あのZOZOTOWNを運営している会社である。ちなみに創業者の方は私の高校の先輩だったりする。この会社の特徴は、「一日6時間労働」、「全社員同額のボーナス」を導入したことだ。社員は高い自己裁量と会社の成長がモチベーションになっているそうで、”Intrinsic Motivation”に振り切っている特殊な例だと言える。若い会社でありながら離職率は4%と低い。スタートトゥデイは6時間労働とすることにより、社内の交流を深めつつも社員一人一人が十分に外部との接触を持てる時間を持つことで、社員それぞれが”Clique Network”"Entrepreneurial Network”それぞれの利点を合わせ持つ”Rainmaker Network”を構築しているのではないだろうか。”Rainmaker Network”は生産性、イノベーションそれぞれに優れているらしい。スタートトゥデイは6時間労働制の導入により、一人当たりの労働生産性が一年で25%上昇したという。

なんか簡単に授業の内容をまとめるつもりがやたら長くなってしまった。まだ授業の内容の10%もカバーしていない…。今夜は眠れなそう。

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