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BOBAとFeature Film Financing and the Studio System その7

BOBAとFeature Film Financing and the Studio System その7

こちらロサンゼルスではBOBAという大き目のタピオカが入ったドリンクが人気である。食後は半ば病みつきになった友人たちがBOBA入りドリンクを買い求めに近所のカフェに繰り出している。BOBAの入った甘~いコーヒー一杯で約5ドル。主にアジア人が好んで飲んでいるが、徐々にその他の層にも浸透してきているように感じる。台湾発祥だそうで、日本にあるかどうか調べてみたところほんの少ししか提供している店はないようだ。本格的にマーケティングをして拡大していけば日本でも案外大きなビジネスになるんではなかろうか。

最近映画ファイナンスの授業まとめばかりになってしまっている気がするが、やっぱり今後役に立ちそうなので今日もまとめておこうと思う。

映画の公告で最も予算をかけるのは、やっぱりアメリカでもTVCMらしい。いかに同時期に上映されるほかの大作映画と比較して差別化できているか(アンケートでその時期観に行きたい映画のNo1になっているか)が重要で、そのためにバンバンお金をつぎ込むらしい。アメリカのTVCM顧客No.1は圧倒的に6大スタジオなんだとか。そのため、木曜夜のCM単価は6大スタジオのせいで月~水と比較して約2倍にもなる。金曜日から週末にかけて皆映画を観に行くからである。日本ではそんなに映画のCMは流れていない気がするので、不思議な気もする。毎年5月の後半2週間ほどの間に、テレビの広告枠の85%が代理店に売り渡される。代理店の前でテレビ局がプレゼンテーションをして枠を買ってくれ!とせがむわけである。残りは一応取っておいて、後に安くなったり高くなったりする。

ちなみにそのCMを見ているのは50代以上が多い。若年層はNetflixとかHuluといったサービスを通じてCMなしでTVを見ており、NBCなどのメジャーネットワークのTVを見ている人はとっても少ない。でもやっぱり体感的にCMが一番効果がありそうなので、やるしかないのである。しかもそれでいてTVCMの費用は年々上がっているそうで、教授曰く毎朝靴下の一方が見つからないのと同じで、不可思議現象であるとのこと。

ハリーポッターの最終作はマーケティングだけで1.3億ドルのお金を使った。もうみんなが知ってるハリーポッター最終作なんだから広告なんか必要ない気がするが、映画のマーケッターが知っている勝利の方程式はこれしかないので、やっぱりお金を使わざるを得ないようだ。1000億円規模の映画なんだから、そのくらい税金レベルだよ、とのこと。結局どんなに頑張っても、ウェブ広告のようなデータが取れる媒体が増えたとしても、マーケティングは答えをはっきり出せない非常にあやふやなものなのである。結局ウェブで安価に顧客にターゲッティングできるようになったとしても、今までの広告を続けながら+αのお金の支払いになるし、同業他社も同じことをするだけなので結局広告に使うお金が増えただけに過ぎないのだ。費用対効果の測定については「とっても賢い人たち」が色々と頑張っているらしいが、残念ながら最終的に答えがでることはないだろう。せいぜい役員に報告する際の資料の精度が増すくらいである。

昔から一番安い広告はパブリシティ。プレスリリースとかインタビューとかの類であり、基本的にほとんど元手がかからない。スターを集めての記者会見はJunketと言われ、36時間で1億円と結構なお金がかかるが、一日で多くの媒体の面を獲得できるので、非常に効率がいいとのこと。

映画上映開始前のトレーラーは唯一非常に効果が高いとわかっている媒体であり、しかもシアター側とディストリビューター側の関係性により無料である。約10分間で5タイトルほど。最後の1タイトルはディストリビューターが取り扱っている作品と相場が決まっている。昔トレーラーの枠を買おうとした某スタジオの社員が即クビになったそうだ。阿吽の呼吸でアンタッチャブルな領域というのはどこの業界にも存在するのだろう。今は比較的仲良くスタジオ同士で配分できているようだ。当然ファミリー映画の前にホラー映画のトレーラーなどは流さないように気を付けているとのこと。

うーむ、書くことが多すぎるので続きはまた次回。

Feature Film Financing and the Studio System その6

Feature Film Financing and the Studio System その6

先週末はC4Cというチャリティークラブが主催するパーティの前に近所の焼き鳥屋Kokekokkoにて一年目の日本人、二年目のアジア人たちを交えて食事。混んでいると食事の提供が遅くなるのがネックだが、なかなか美味しい焼き鳥屋で店主がなぜかいつも酔っぱらいながら焼き鳥を焼いている。

久々に焼き鳥を食べると日本を思い出す。わたみんちやぐりどっちんなど、仕事上がりにやすーい店に友人と通ったもんである。お通しをカットすれば、たくさん飲んでも大抵2,000円台。こちらだと同じクオリティで倍の支払いはまぬがれない。なんか安くていいお店が近くにあるといいのだが。

今回も映画の授業まとめの続き。今回は映画館についての話。

映画館は、昔から今まで映画界におけるその重要性は変わっていない。北米の65%の映画館は現在4つの会社に所有されている。1948年~1980年にかけて、アンチトラストの関係でスタジオが映画館を所有することはできなかった。垂直統合型のビジネスは不可能だったのだ。1980年代、アンチトラストの仕組みが変更になり、スタジオがシアターを所有できるようになり、ソニーピクチャーズなどが製作から興行まで一気通貫の仕組みを作ろうと頑張ったのだが、あえなく失敗して撤退した。映画館とは非常に利益の薄い商売であり、一つのスタジオ作品をひいきにしてしまうと儲からないのである。

ディストリビューター(映画を映画館におろす側)と映画館側の利益配分は比較的シンプルである。Box Officeと呼ばれる1週間のチケット総販売額からHouse Nuts(電気代などの場所代、通常1つのシアターで$5000程度)を引き、以下のように配分する。

Week 1 ディストリビューター90%/映画館10%

Week 2 ディストリビューター80%/映画館20%

Week 3 ディストリビューター70%/映画館30%

Week 4 ディストリビューター60%/映画館40%

Week 5 ディストリビューター50%/映画館50%

Week 6 ディストリビューター40%/映画館60%

Week 7 ディストリビューター35%/映画館65%

Week 8 ディストリビューター35%/映画館65%

Week 9 ディストリビューター35%/映画館65%

Week 10 ディストリビューター35%/映画館65%

ディストリビューターとしてはできるだけ長く映画館で映画を公開してほしいので、後半の映画館側の取り分を高めるわけだ。それでも大抵の映画は5週目くらいで打ち切られる。莫大な予算をかけた映画などは、初週の取り分を70‐30などに変更し映画館側のメリットを高めることで、公開シアター数を増やしたりもするらしい。逆にあまりにも人が入らなかった場合も、交渉によってこの数字を変更できる機会があるそうだ(ユニバーサルを除く)。ちなみにアメリカでは映画館側がチケット代を決めることができ、映画館によって結構値段が違ったりする。

映画館にとって、実はチケット代だけだと全然元が取れない。そこで儲けるために登場するのが「ポップコーン」である。もちろんソーダ類も利益率が高いのだが、カップがつやつやしていて多少コストがかかっているらしい。15年前に無視されていた予告編などの広告類も、徐々に売上の上がるコンテンツとして認識されつつあるようだ。ということでみなさん、映画館に行ったらポップコーンを買ってあげましょう!

Feature Film Financing and the Studio System その5

Feature Film Financing and the Studio System その5

今日も引き続き、映画の話。かなりゲームと共通点が多くためになる部分が多い。なぜ予算が高額化していったのか、労働組合だとかスターの価値の向上などは前回の投稿で述べたところであるが、一番の理由は「最も高い確度で儲けられる」からである。

6大スタジオが他の映画製作会社と比較しCompetitive Advantage(優位性)を持っている点は、6つある。

1.資本力

2.知識(要は、大規模プロジェクトを完遂するだけの経験値)

3.製作会社との関係(新参のLions gateなどはここで結構喧嘩してしまうんだとか)

4.Tracks(基本的にアメリカの会社は談合できないが、暗黙の了解でどのスタジオがいつどれくらいの規模の映画を公開するのか分かってしまう)

5.年間14~20本の映画で全てのジャンルをカバーしている(Full range of products)

6.マーケティングにおける方程式が決まっている

最も重要と思われる1の資本力は、過去の大量の映画ライブラリがその源泉になっている。新しい映画の放映権を古い映画などと抱き合わせでケーブルTVなどに売ることで安定した収益を得られるわけだ。例え新作が映画館で失敗したとしても、ライブラリの一つとしての需要は十分にある。一年単位で見れば、全く映画を作らなかったほうが儲かったりするらしい。ただしライブラリを常に更新していかなければ長期的には儲からないのである。

これをゲームに当てはめてみると、映画ライブラリと新作映画との関係は、ゲームにおける既存IPと新規IPの関係に似ている。既存IPとは、すなわち過去から現在に渡ってリリースしているシリーズである。ドラクエ、ファイナルファンタジーなどは10作以上、スピンオフも含めればかなりの数のゲームをリリースしていることだろう。ただし、さすがにずーっとそれだけで拡大していくのは難しい。そのため新規のIPを作り、育てていく必要があるわけだ。失敗したゲームでも、Steamなどのプラットフォームでまとめ売りして何回か資金回収できるチャンスが徐々に増えつつある。

ただし、現在の日本のゲーム会社で新規のIPを生み出していくのは非常に難しいと言わざるを得ない。当然予測が立ちにくいので、大きな予算が取りづらいのである。先日リリースされたアクティビジョンのDestinyは、完全に日本のゲーム会社では実行できないことをスタジオシステムに近い方程式でやってのけた。製作費500億円の、続編ではない完全新作である。巨額の予算でマーケティングの方程式に乗っ取り、他の会社が真似できないことをやることが、最も成功の確度が高いと知っているのである。

これを他の北米のゲーム会社に続けてやられてしまうと、世界の上位コンテンツが独占されてしまい(もうすでにそうなってきているが)、日本のゲーム会社は映画でいうところの「インディペンデント系」といわれる言ってみれば「弱小デベロッパー」になってしまう。

日本のゲーム会社に何が足りないのか、映画の仕組みを知ることで透けて見える気がした。

TV industry memo

TV industry memo

<TV industry in US>

MVPD: Multiple Video Provider + Distributors

FX. 1/2 Rev from sub + ads. Now part of it from original content sales. (ie. iTunes, int ch, VOD)

Writer (Prod.comp) – R&D – Manufacture (Studio) – Retail (networks)

OTT (over the top) – Subscription VOD (ie. Netflix, Amazon, Hulu)

Cable – MVPDs (cable satellite op)

Virtual MVPDs – get TV through internet (ie. Play Station Network)

Telephone MVPDs (ie. ATT, Verizon)

Broad casters (ABC, NBC, FOX, CW, KCOP, KCAL, etc) – retransmission fee from cable comp. ask for channels – right to retransmit the programming

Cable – dual revenue (commercials & content) + subs fees

Basic Cable: 34 channels (measured) in exchange broadcast networks like cable networks

Premium cable network: HBO, Showtime, etc.

Public channel: PBS, BBC network affiliated (diff.cn # indiff.cities) – pay fee to carry network signal

FX: 96 million homes (fully distr. cable networks)

FXX: 74M, FXM: 50M

Studio: production entities + distribution. own prop + sell to network. Now few indep (Lions gate, Sony). comp. Finance prod.

MFN: most favorite nations clause

Prod.comp – procluce product, sell to studio

Mostly vertically integrated in TV.

Avg cost of FX show: 2.8 million

Nerwork: 3.5 million

HBO: 4.5 million

Nerworks pay 65% of cost

int. mkt. recoup deficit

Netflix: 4B on programming

Cable: 80B

Sports are important for channels

independent studios: sony, lionsgate, shine, WB

10/90 – straight – to – series acquired format

order 10 eps. nit ratings need to pick up 90 eps @ low price

prime time 8-11pm

Feature Film Financing and the Studio System その4

Feature Film Financing and the Studio System その4

3の続き。映画予算高騰の理由は、何もスターにかかる費用の高騰によるものだけではない。

大きな理由の一つは、労働組合である。労働組合が力を持つ前はひどい環境だったそうで、現場の労働者は1日12~14時間労働の週6日勤務が平均的だったそうだ。日本のブラックな環境と比較するとそれほどひどくない気もしてしまうが、現在のアニメ製作現場の状況に似ている気がする。ゲームは会社によるが自分の知っている限りはまだましなほうだ。ハリウッドの労働組合というとどうしても馬鹿みたいな金額を吹っ掛ける悪いイメージが先行しているようで、教授はそのイメージ戦略の失敗に嘆いていた。基本的には各タレントは労働組合に所属していて、契約しない会社とは現状仕事ができず、特定の人物と直接契約、というのは結構難しいんだとか。

理由のもう一つは、レイオフの問題。日本の会社と違ってアメリカでは簡単にクビになる。予算を余らせてクビになった人はいないが、予算オーバーは必然的に誰かが責任を取ることになる。そのため、自然と予算拡大方向にパワーが働くのは当然のことと言えるかもしれない。インディペンデント系の映画だと予算に10%程度もしもの時のための資金を入れておくそうだが、スタジオ系の映画予算にそんな項目はない。誰もが皆多めに予算が申請されていることを知っているからだ、とのこと。暗黙の了解というわけである。変なシステムだ。そして、予算は最後に全部使い切るのも暗黙の了解。予算を余らせて評価されることはないのである。

日本のゲームはインディペンデント系の映画に近いかもしれない。私が予算を申請していたときは、比較的抑えた金額で申請を確実に通すことを優先し、忘れたことになんとか説得して予算を増やし、納期を伸ばす手を使っていた。まぁいいかと言われれば良くないのだが、納期、予算通りに完成したゲームを私は見たことがない。納期、予算通りのゲームは見たことがあるが未完成で100%失敗していた。個人的にゲームは100%完成させることがまず1stプライオリティーだと思う。

10年ほど前、FOXが高騰する予算に嫌気がさして労働組合を通さないように6か月くらい頑張ったらしいが、他の映画会社と談合するとアンチトラストに引っかかってしまうため足並みを揃えられず、かつ製作者のモチベーションが上がらずに断念したそうだ。ちなみにそんな談合が合法的にできるのは「日本」である。いいのか悪いのか、日本産コンテンツのサステイナブルな発展を考えれば、今後障害となってくるかもしれない。

続いて脚本についての話。

脚本は大体100~120ページ程度でアクション映画だと45ページ程度のこともあるらしく、特に制限はないらしい。ただ、あんまり長いと映画もダラダラ長くなったりして、映画館も上演回数が減って嫌がるらしい。

ハリウッドの脚本家の脚本というとなんだかすごい気もするが、ほとんどの脚本はBadらしい。その理由は以下の4つ。

1.映画に使えない、映画としてはダメな脚本

2.ライターがあんまりよくない

3.お金になりそうにない

4.参入障壁が低いため、ダメな脚本が量産される

そんな中キラリと光る脚本を見つけるのがなかなか難しかったりするわけだが、見つけた脚本が使えないこともある。エグゼクティブの誰かがNoと言ったり、他のスタジオとの入札に負けると残念、企画はお蔵入りとなるわけである。

また、いい脚本であってもスタジオが作れるものであるとは限らない。大変な予算がかかるわけで、ピッチで「この映画は売れます」ということを説得できないとそもそも企画が通らない。ちなみにスタートレックは「ワゴントレイン」という昔のテレビシリーズの宇宙版です、とピッチをして企画を通したそうだ。そのため、自然とスタジオ制作の映画はクリエイティビティが制限され、奇をてらった独創的な作品はインディペンデント系の映画会社にしか作れなかったりするそうだ。このあたりは日本のゲームでも「続編主義」と言われる、○○4とか、売れたタイトルの続編でないとなかなか予算が取れない状況に似ている。

Feature Film Financing and the Studio System その3

Feature Film Financing and the Studio System その3

「自分は意思が弱く、何かことをなすような人間ではない。 しかしそこで自分を駄目だと思ってあえて何もしなければ、すなわちできることもできなくなってしまう。 一時の平安に身を任せることを日また一日と重ねれば、ついには畳の上で老死するだけである。」 ―久坂玄瑞

個人的に好きな言葉なのだが、先週末は何をしたということもなく、なんだかだらだらと過ごしてしまった気がする。ここ最近、将来について色々と考えて悩んだりすることが多い。そして気づいたら時間が経って一日が終わってしまっていたりする。目標は明確なのでそれに対して一つ一つマイルストーンを置いていくだけなのだが、何が正しいのか正しくないのか、考えていると止まらなくなってしまう。もっと行動をしないと、時間ばかり過ぎて焦りが募る。自分への戒めを込めて。

前置きはこのくらいにして今回も授業のまとめをしたい。というかしないと忘れていってしまう。今日は別のクラスでFOXのスタジオに行って授業がある。どんな授業になるのか楽しみだ。

映画の資金調達の際には、まず必要となる予算表がある。予算表は最初の1ページが各項目にそれぞれいくらかかるのか簡単な見出しのページとなっている。予算は大きく「Above the line」「Below the line」の2つに分けられる。「Above the line」はWriting(脚本)、Director(監督)、Producer、Acting Talent(俳優)、Care and feeding of all of the aboveの5項目。「Below the line」は場所代やカメラマンなど製作期間にかかる費用で45項目ほど、資金調達にかかる費用や音楽(音楽は基本的に映像が完成してから作るんだそうだ)、保険料などその他の費用が8項目ほどである。

なぜ「Above the line」「Below the line」の2つに分けられているかと言うと、「Above the line」が莫大な金額を占め、かつ変動が大きいからである。「Below the line」はいわば人月単価で支払いをするような感じになるので、比較的変動が少ない。

200億円製作費がかかる映画には3つのパターンがある。

1.アニメーションムービー(アナ雪など)

2.CGIムービー(トランスフォーマー、アバターなど)

3.スターを起用したムービー(ミッションインポッシブルなど、たくさん)

1,2はそもそも映像の製作自体に大変な労働力が必要になるので別として、3はなんでこんなにかかるのかと疑問に思う人が多いだろう。元々、スターの費用が急騰を始めたのは海外の売上比率が増え始めた1970年代に遡る。国際的にファイナンスするためにはまず売れる理由が必要になり、その一つがスターだったというわけだ。現在アメリカ外の売上比率は55〜60%程度まで上がってきているとのこと。何も映画界がトムクルーズをプッシュしているわけではなく、知名度のあるスターの起用が必要だったのである。ちなみに、女性で名前だけでファイナンスできる俳優は、以前はジュリア・ロバーツただ一人だったとのこと。

全然関係ないが、教授とも仕事をしたことのあるトムクルーズは非常にプロフェッショナルな方だそうで、常に撮影にはオンタイム、非常に謙虚で脚本もしっかり読み込み、リテイクが少ないとのこと。ロバート・デニーロなどは逆にこだわり過ぎて撮影が押すこともしばしばだとか。まぁ、それはまた別の話。

予定が入ったので続きは後日。

Feature Film Financing and the Studio System その2

Feature Film Financing and the Studio System その2

前回の授業のまとめ続き。興味深かった話を箇条書きでまとめておきたい。

・映画を観る理由の圧倒的No.1は口コミ。

・映画の売上の85~90%は6大スタジオ製作の映画によるもの。

・州によって一人当たりの映画産業の売上は全く異なる。例えばシアトルやソルトレークシティは映画産業が大きいのに対し、シカゴやマイアミは相対的に小さい。ファミリー数、女性比率などが原因とのこと。女性比率が高い方が人々が映画を観に行く回数は多くなる。特にこの傾向が強いのは日本で62%の映画鑑賞は女性主導。

・HBOやSHOWTIME、Netflixなどのオンデマンドサービスの利用者はほぼ重複しており、各3000万人程度。そのため、案外アメリカ全体の人口からするとマイノリティであることを理解する必要がある。

・ターゲットは大きく分けて老若男女の4パターンで設定する。

・世界で最も多くの地域に放送されている番組はゴルフ。視聴率が低くとも、他の番組がリーチできない中流階級以上の層にリーチできるため広告需要があるから。

・アニメーション映画の製作費は200億円くらいかかるのに対し、平均的には70億円程度の興行収入にしかならない。(その後のライフサイクルで回収する)

・映画ビジネスの4大リスク

1.誰かが気になるコンセプト作れるかどうか(そもそも気になる内容でなければ誰も見ない)

2.1のコンセプトを実行し、作りきることができるかどうか(ここが一番難しい)

3.どうやってマーケティングするかコンセプトがあるかどうか

4.天災、スキャンダルなどの社会的イベントに邪魔されないか(1-3がうまくいっても運悪くここで失敗することもある。教授曰く「自分の金は使うな!」とのこと)

・映画公開時に成功した映画は、その後のサイクルでも成功し続ける。

・ビデオのみで劇場公開のない映画も多く存在する。その中で「Video God」と言われる俳優はケビン・ベーコン。全然映画のタイトルを知らない人でも、「お、ケビン・ベーコンがでてるー」ということで借りたり買ったりするらしい。日本で言ったら哀川翔あたり?

今日は2回目の授業。楽しみ。

グランドキャニオン

グランドキャニオン

新学期が始まったばかりの3連休ということで比較的時間に余裕があったため、先週末は世界遺産であるグランドキャニオンへ。ロサンゼルスからは車で休憩を挟んで8時間ほどだろうか。そのスケールの大きさにはただ圧倒されるばかりであり、マチュピチュとはまた違った魅力のある観光地である。

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こちらは崖からのサンセット。下を見ると足がすくむほど切り立っており、毎年多くの方が足を滑らせて落ちてしまうとのこと。無理はしないように!

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果てしなく続く渓谷。グランドキャニオンは、7,000万年前に隆起した大地をコロラド川が少しづつ削っていくことでできた特殊な地形である。今コロラド川が削っているのは20億年前の地層らしい。科学的にも大変貴重なサンプルなのだ。

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こちらは夕日が沈んで夜が更けていく様子。日本の空とは少し雰囲気が違う気がするが、気のせいだろうか。

今回はキャンプということで、せっせとテントを張って野宿。とはいえ、グランドキャニオンはアメリカ最大の観光地の一つ。キャンプ場は非常に発達していてシャワー付き、トイレも清潔で過ごしやすく、案外快適であった。

次はいつ、行けるかな?

33年間変わらない映画の儲け方

33年間変わらない映画の儲け方

今週の月曜日から2年生になって初めての授業が始まった。今年から念願のシネマスクールの授業が取れるようになったのだが、これが本当に面白い。その一つ、”Feature Film Financing and the Studio System”という授業は、実はUSCを受験する際に挙げた受けたい授業の筆頭であり、そして期待を裏切らず今までの授業の中で最高の授業だと胸を張って言える。

元々何故この授業を受けたかったかと言うと、一つのコンテンツに数百億円の資金を集める映画のファイナンス手法に非常に興味を持ったからである。平均予算80億円と言われる、スタジオ映画ほどの予算のゲームは現在一握りであるが徐々に増えつつある。それが一本のコンテンツに大量のお金をかけることができない日本のゲーム業界が、徐々に輝きを失いつつある一因となっているのだ。

映画がお金をくわえて帰ってくる仕組みは、実は過去33年間大きく変わっていないという。その仕組みは以下の流れになる。

1.劇場公開

2.飛行機、軍の基地、大学、船、牢獄、石油掘削場などクローズドな環境での上映

<ここまでで大体4-6か月>

3.ビデオ(ウォルマート、ターゲット、ベストバイなどの小売)、オンライン配信

4.Pay TV、ケーブルテレビ ここから3に戻って2-3年の周期を繰り返す

昔はメジャーネットワーク(日本でいうキー局)がテレビで流していたりしたらしいが、ここ最近はあまりないらしい。これだけ見るととてもシンプルな構造である。大体7年ほどで映画のライフタイムにおける売上の90%くらいが手元に来るらしい。33年間変わっていないと書いたのは、それまではビデオがなかったからだ。ビデオは劇的に映画業界の仕組みを変えたのである。

ファイナンスの仕組みについてはまだ触った程度であるが、結論としては6大スタジオは基本的に全て自分達で賄っている。数百億の予算で失敗すれば大損害があるというのに、だ。以下がその6大スタジオである。

1.ワーナーブラザース(親会社 タイムワーナー:コンテンツビジネス)

2.21世紀フォックス(親会社 ニュースコーポレーション:メディアビジネス)

3.ディズニー(親会社 ウォルトディズニー:ネットワーク、コンテンツ、テーマパーク、ESPN)

※ちなみに、ウォルトディズニーの最も大きな事業は映画でもディズニーランドでもなく、ESPNというスポーツネットである。意外だ。

4.ユニバーサル(親会社 コムキャスト:ケーブルビジネス)

5.パラマウント(親会社 バイアコム:コンテンツビジネス)

6.コロンビア(親会社 ソニー:電気機器ビジネス)

ご覧の通り、どのスタジオも超強力なパトロン親会社がバックに付いていることが分かる。それぞれの親会社の中核ビジネスは異なるが、財閥的に事業領域が多岐にわたるため、共同制作といったことは利益が相反する部分が出て基本的に成立しないのだ。だから基本的に自分達でやる。自分達で全リスクを取って最大限シナジーを生かし、全利益を回収する。

そしてもう一つ、これらのスタジオは映画ですぐに儲けようとしていない。実は劇場公開した映画のほとんどは赤字だそうだ。6大スタジオ以外と比較すればそれはそれは高い確率で黒字だそうだが、案外ヒットは少ない。しかし、例えば一本映画がコケたとして、年間14~20本のポートフォリオでカバーできると彼らは考えている。かつ大量の映画ライブラリが安定的収益をもたらしてくれるため、実は古くなったライブラリの一部を更新する、という感覚なのである。

6大スタジオと同じ仕組みがゲームでできないだろうか。日本のゲーム会社を持ってシナジーを発揮できるところはどこだろう。そんなことを考え出すと眠れなくなりそうなので、今日はこのあたりでやめて後日続きを書くことにしたい。実は明日からグランドキャニオンでキャンプなのだ。楽しみ。良い週末を。